~あらすじ~
1835年9月、英国海軍船ビーグル号は本国への帰途ガラパゴス諸島に立ち寄った。
ゾウガメとイグアナの楽園に上陸したのは艦長を含む11名。翌日、宣教師の絞殺死体が発見された。犯人は捕鯨船の船長を惨殺し逃亡したスペイン人なのか?
若き博物学者ダーウィンが混沌の中からすくい上げたのは、異様な動機と事件の驚くべき全体像だった。
~感想~
歴史上の人物を主人公に本格ミステリを描き、さらにその事件が偉人の業績に多大なる影響を与えていた――という離れ業をやってのける才人が、今度はダーウィンに食指を伸ばした。
が、なにぶん「神の不在」を解き明かした偉人だけに、哲人ソクラテスを主役に据えた『饗宴』よりもさらに哲学的で、真犯人の動機の破格さはちょっと理解を超えてしまう。不可能殺人のトリックはさすがに意外なところに伏線を忍ばせてくれたが、動機と濃厚な哲学に引いてしまったのが敗因。とはいえ翻訳調の文体と変人ダーウィンの言動でぐいぐいと読ませる手腕は健在。読んで損はない。
08.5.13
評価:★★☆ 5
1835年9月、英国海軍船ビーグル号は本国への帰途ガラパゴス諸島に立ち寄った。
ゾウガメとイグアナの楽園に上陸したのは艦長を含む11名。翌日、宣教師の絞殺死体が発見された。犯人は捕鯨船の船長を惨殺し逃亡したスペイン人なのか?
若き博物学者ダーウィンが混沌の中からすくい上げたのは、異様な動機と事件の驚くべき全体像だった。
~感想~
歴史上の人物を主人公に本格ミステリを描き、さらにその事件が偉人の業績に多大なる影響を与えていた――という離れ業をやってのける才人が、今度はダーウィンに食指を伸ばした。
が、なにぶん「神の不在」を解き明かした偉人だけに、哲人ソクラテスを主役に据えた『饗宴』よりもさらに哲学的で、真犯人の動機の破格さはちょっと理解を超えてしまう。不可能殺人のトリックはさすがに意外なところに伏線を忍ばせてくれたが、動機と濃厚な哲学に引いてしまったのが敗因。とはいえ翻訳調の文体と変人ダーウィンの言動でぐいぐいと読ませる手腕は健在。読んで損はない。
08.5.13
評価:★★☆ 5