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ミステリ感想-『ゴーグル男の怪』島田荘司

2011年11月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「そいつ、両目の皮膚が溶けたように真っ赤なんですよ……」タバコ屋の老婆が殺された濃霧の夜、ゴーグルで顔を隠した男が闇に消えた。
死体の下から見つかった黄色く塗られた五千円札、現場に散乱する真新しい五十本の煙草。曖昧な目撃情報、続出する怪しい容疑者、奇怪な噂が絶えない核燃料製造会社。
そしてついに白昼堂々、ゴーグル男が姿を現した。


~感想~
僕は御大のファンというよりも信者に近いが、それでもこれはちょっと擁護しがたい。
視聴者参加型推理ドラマ「探偵Xからの挑戦状」用に書き下ろされた原作に、原発批判と新たな語り手を配した――だけで、原発批判も語り手も完全に浮いてしまっている。
特にある人物にいたっては読み終わるや「で、お前誰やねん」とツッコみたくなる有様で、いてもいなくても一向に構わない存在である。
事件もトリックもこれはどう考えても中編程度のネタで、それならば文庫版で出して、ドラマ版と同じように読者への挑戦でも挟めばよかったろうに、と思えてならない。


11.11.7
評価:★★ 4
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