~あらすじ~
エジプトに迫るナポレオン艦隊。迎え撃つアイユーブの秘策は読む者を破滅に導き、歴史を覆す書物『災厄の書』。
その物語は夜、密かにカイロの片隅で譚り綴られる。
妖術師アーダム。魔術師ファラー。剣士サフィアーン。三人の未曾有の物語が幕を開く。
~感想~
石を投げればミステリにぶつかる昨今、例によってなぜか「このミステリーがすごい!」でランクインしたものの、本作は純粋ファンタジーなので取り扱い注意。
内側の物語は3人の主人公を軸に、剣と魔法と怪物の世界をケレンに満ちた、そして翻訳文らしい奇矯な筆致で描き、主人公たちの三者三様の数奇な運命、ゲーマーならば間違いなく風来のシレンやディアブロ、何よりウィザードリィを想起するだろう地下迷宮の冒険、ラスボスとの死闘と白熱し、外側ではナポレオンのエジプト侵攻をめぐる政争が、内側の物語を取り込み現実と幻想の境目が消えていきと、2つの物語は徹頭徹尾盛り上がりを見せる。
しかし外側の、そして作品自体の結末が、おおよそこんな所だろうと見当付けていた所にそのまま着地してしまい、こちらの想像を上回りはしなかったのが惜しい。とはいえミステリではない純粋ファンタジーにとって、最も大事なのはオチの意外さではなく過程の面白さであり、そんなことは言い掛かりにも等しい。
なにぶんファンタジー耐性のない人間なので読み通すのに苦労したが、耐性がなくても読了できるほどなので、ファンタジー好きの方ならば文句なしに楽しめることだろう。
――ところでこの物語自体にある「大仕掛け」が潜んでいるのだが、感想を書く前に検索したところ、なんとそれが他言無用のネタバレだったと知って驚いた。
えええ!? いやいやいやいや。こういうのよくあるって! たとえば「反●●●」とかそもそも「●●●●義」とか!
僕は本作がそういう物だと思って読んでいたので、騙される云々以前に「大仕掛け」であることにすら気づけず、危うく平然とこの感想でネタバレするところであった。
いやはや世の中には純粋な人が多いものである。
12.
評価:★★★ 6
エジプトに迫るナポレオン艦隊。迎え撃つアイユーブの秘策は読む者を破滅に導き、歴史を覆す書物『災厄の書』。
その物語は夜、密かにカイロの片隅で譚り綴られる。
妖術師アーダム。魔術師ファラー。剣士サフィアーン。三人の未曾有の物語が幕を開く。
~感想~
石を投げればミステリにぶつかる昨今、例によってなぜか「このミステリーがすごい!」でランクインしたものの、本作は純粋ファンタジーなので取り扱い注意。
内側の物語は3人の主人公を軸に、剣と魔法と怪物の世界をケレンに満ちた、そして翻訳文らしい奇矯な筆致で描き、主人公たちの三者三様の数奇な運命、ゲーマーならば間違いなく風来のシレンやディアブロ、何よりウィザードリィを想起するだろう地下迷宮の冒険、ラスボスとの死闘と白熱し、外側ではナポレオンのエジプト侵攻をめぐる政争が、内側の物語を取り込み現実と幻想の境目が消えていきと、2つの物語は徹頭徹尾盛り上がりを見せる。
しかし外側の、そして作品自体の結末が、おおよそこんな所だろうと見当付けていた所にそのまま着地してしまい、こちらの想像を上回りはしなかったのが惜しい。とはいえミステリではない純粋ファンタジーにとって、最も大事なのはオチの意外さではなく過程の面白さであり、そんなことは言い掛かりにも等しい。
なにぶんファンタジー耐性のない人間なので読み通すのに苦労したが、耐性がなくても読了できるほどなので、ファンタジー好きの方ならば文句なしに楽しめることだろう。
――ところでこの物語自体にある「大仕掛け」が潜んでいるのだが、感想を書く前に検索したところ、なんとそれが他言無用のネタバレだったと知って驚いた。
えええ!? いやいやいやいや。こういうのよくあるって! たとえば「反●●●」とかそもそも「●●●●義」とか!
僕は本作がそういう物だと思って読んでいたので、騙される云々以前に「大仕掛け」であることにすら気づけず、危うく平然とこの感想でネタバレするところであった。
いやはや世の中には純粋な人が多いものである。
12.
評価:★★★ 6