~あらすじ~
作家の私はホラー特集の企画に誘われ、記憶から封印していたある怪異を思い出す。
それを書いたのをきっかけに、さらなる怪異譚を聞くことになって行き……。
2018年このミス10位、文春5位
~感想~
かの米澤穂信「満願」に匹敵する傑作短編集「許されようとは思いません」が2016年にこのミス5位にランクインするなど話題を呼んだ作者が、明言こそされないが(ただし「許されようとは思いません」の作者と書かれている)自身を語り手にした実録怪談をものしてくれた。
冒頭の「染み」がぜひ映像で観たくなる怪談で、以降も「トリハダ」的なキ印が怖い話を交えつつ、ミステリ仕立ての伏線やどんでん返しを凝らし、しかし怪異として割り切れない怖さを残す、佳作が目白押し。
最後には連作短編集としてまとめ上げ、さらには現実をも取り込む手際の良さで、ホラーにも並々ならぬ手腕を持っていることを証明してみせた。
実録怪談といっても、もしこれが事実ならば一刻も早く「小説新潮」紙上で注意喚起すべきで、単行本に書き下ろしている場合ではない。
だが一編一編を取り出しても、怪談として高いクオリティを持ち、実話として信じさせるに足るリアリティも併せ持っており、宇佐美まことばりの、ホラーとしてもミステリとしても優れた本作のような作品を今後もぜひ書いてもらいたいと願ってやまない。
19.3.1
評価:★★★☆ 7
作家の私はホラー特集の企画に誘われ、記憶から封印していたある怪異を思い出す。
それを書いたのをきっかけに、さらなる怪異譚を聞くことになって行き……。
2018年このミス10位、文春5位
~感想~
かの米澤穂信「満願」に匹敵する傑作短編集「許されようとは思いません」が2016年にこのミス5位にランクインするなど話題を呼んだ作者が、明言こそされないが(ただし「許されようとは思いません」の作者と書かれている)自身を語り手にした実録怪談をものしてくれた。
冒頭の「染み」がぜひ映像で観たくなる怪談で、以降も「トリハダ」的なキ印が怖い話を交えつつ、ミステリ仕立ての伏線やどんでん返しを凝らし、しかし怪異として割り切れない怖さを残す、佳作が目白押し。
最後には連作短編集としてまとめ上げ、さらには現実をも取り込む手際の良さで、ホラーにも並々ならぬ手腕を持っていることを証明してみせた。
実録怪談といっても、もしこれが事実ならば一刻も早く「小説新潮」紙上で注意喚起すべきで、単行本に書き下ろしている場合ではない。
だが一編一編を取り出しても、怪談として高いクオリティを持ち、実話として信じさせるに足るリアリティも併せ持っており、宇佐美まことばりの、ホラーとしてもミステリとしても優れた本作のような作品を今後もぜひ書いてもらいたいと願ってやまない。
19.3.1
評価:★★★☆ 7