~あらすじ~
紫湛荘の事件から数ヶ月、新たにつかんだ斑目機関の情報を探るため、剣崎比留子と葉村譲は、研究所があったという山奥の村へ。
そこでは予知能力を持つ巫女サキミが村人から恐れられており、折しも「男女2人ずつが死ぬ」という予言を出したところだった。
~感想~
デビュー作「屍人荘の殺人」は、「容疑者Xの献身」以来の三冠馬として、たった一作しか無いのに漫画化・実写映画化と過剰に持ち上げられ、本作も数ヶ月前からあらすじと書影が公開されと、ものすごいプレッシャーが掛かっていたが、冗長な面や荒い点もあるにせよ、前作よりはるかに良く出来ているし、期待通りに前作のような特殊設定も上手く活かしてくれた。ゾンビに目を付けただけの一発屋の可能性も少しは危惧していたので、この普通に良く出来た、いやさ非常に良く出来た、早くもランキング上位は確実と思える堂々たる本格ミステリぶりには恐れ入った。
そして内容よりも気になったのが、いろいろ話題になったとはいえ、こんなごくごく普通の(特殊設定が絡んではいるが)超が付くほど正統派の本格ミステリがあっという間に10数万部も売れ、一般層にそんなに受け入れられるなら、本格ミステリの未来は明るいという希望が抱けた。一般層に受け入れられたのがうれしいのではない。良い作家がちゃんと儲かる未来が見えたのがうれしいのだ。
破格のデビュー作一冊限りで力を使い果たした作家も多い中、二作目できちんと前作を超え、何よりこの王道を歩み、そこに特殊設定を上手いこと織り交ぜた、端正なTHE・本格ミステリを見る限り、作者にはもうなんの心配もいるまい。
出版社は久々の大型新人として持ち上げたいのはわかるが、あまり余計なことはせず粛々と見守ってもらいたい。
19.3.11
評価:★★★★☆ 9
紫湛荘の事件から数ヶ月、新たにつかんだ斑目機関の情報を探るため、剣崎比留子と葉村譲は、研究所があったという山奥の村へ。
そこでは予知能力を持つ巫女サキミが村人から恐れられており、折しも「男女2人ずつが死ぬ」という予言を出したところだった。
~感想~
デビュー作「屍人荘の殺人」は、「容疑者Xの献身」以来の三冠馬として、たった一作しか無いのに漫画化・実写映画化と過剰に持ち上げられ、本作も数ヶ月前からあらすじと書影が公開されと、ものすごいプレッシャーが掛かっていたが、冗長な面や荒い点もあるにせよ、前作よりはるかに良く出来ているし、期待通りに前作のような特殊設定も上手く活かしてくれた。ゾンビに目を付けただけの一発屋の可能性も少しは危惧していたので、この普通に良く出来た、いやさ非常に良く出来た、早くもランキング上位は確実と思える堂々たる本格ミステリぶりには恐れ入った。
そして内容よりも気になったのが、いろいろ話題になったとはいえ、こんなごくごく普通の(特殊設定が絡んではいるが)超が付くほど正統派の本格ミステリがあっという間に10数万部も売れ、一般層にそんなに受け入れられるなら、本格ミステリの未来は明るいという希望が抱けた。一般層に受け入れられたのがうれしいのではない。良い作家がちゃんと儲かる未来が見えたのがうれしいのだ。
破格のデビュー作一冊限りで力を使い果たした作家も多い中、二作目できちんと前作を超え、何よりこの王道を歩み、そこに特殊設定を上手いこと織り交ぜた、端正なTHE・本格ミステリを見る限り、作者にはもうなんの心配もいるまい。
出版社は久々の大型新人として持ち上げたいのはわかるが、あまり余計なことはせず粛々と見守ってもらいたい。
19.3.11
評価:★★★★☆ 9