~あらすじ~
指を失ったかつての天才ピアニストがアメリカで復帰した。
音大を辞め医師となった私はかつて、彼―永嶺修人に傾倒しシューマンに魅了された。
目を疑う噂を聞いた私は、真実を探るとともに修人との高校生活を思い出す。
2010年このミス5位、文春5位、本屋大賞候補
~感想~
指を切断した天才ピアニストが指を生やして復帰したというミステリ的な謎は置いといて、シューマン愛に満ち満ちたガチの評論と哲学めいた音楽論が延々と交わされる。
門外漢なのでそれがどこまで正しく、どこまで画期的なのかはわからないものの、流し読みしている範囲でもわりと楽しめるのだが、そのさなかにものすごく唐突に俗物的な殺人事件が発生。
ところがそれも置いといてシューマン論と音楽家の卵同士の確執がまだまだ続き、冒頭から予告された破局を迎える。
その真相はといえば、それを認めればなんでもアリじゃねえかという代物で、トリック面ではがっかりなのだが、それに至るきっかけ、物語が始まった契機はなかなか興味深かった。
それを作中で指摘してくれず、読者の気付きに委ねるあたりはやや不満だったが、文学畑の作者なのでしかたあるまい。
問題はそういったことを一切指摘せず「幼い頃、「影踏み」をして遊んだ」「影法師を踏まれるとおのれは死ぬ。そういう象徴的な意味を影法師が持つということを幼い者の心の奥底まで刷り込んでくれる遊びが、他ならぬ影踏みであった」と完全にラリったポエムを3ページにわたって書き散らす文庫版の解説で(※作中に影踏みは一切出て来ない)、普段ミステリばかり読んでいるから知らなかったが、文学畑の作品だと他人の本の解説で純文学を書き散らすやべえ奴が出てくるのだと驚いた。しかも深刻なネタバレ付きなので速やかに破り捨てることを勧める。
22.6.28
評価:★★☆ 5
指を失ったかつての天才ピアニストがアメリカで復帰した。
音大を辞め医師となった私はかつて、彼―永嶺修人に傾倒しシューマンに魅了された。
目を疑う噂を聞いた私は、真実を探るとともに修人との高校生活を思い出す。
2010年このミス5位、文春5位、本屋大賞候補
~感想~
指を切断した天才ピアニストが指を生やして復帰したというミステリ的な謎は置いといて、シューマン愛に満ち満ちたガチの評論と哲学めいた音楽論が延々と交わされる。
門外漢なのでそれがどこまで正しく、どこまで画期的なのかはわからないものの、流し読みしている範囲でもわりと楽しめるのだが、そのさなかにものすごく唐突に俗物的な殺人事件が発生。
ところがそれも置いといてシューマン論と音楽家の卵同士の確執がまだまだ続き、冒頭から予告された破局を迎える。
その真相はといえば、それを認めればなんでもアリじゃねえかという代物で、トリック面ではがっかりなのだが、それに至るきっかけ、物語が始まった契機はなかなか興味深かった。
それを作中で指摘してくれず、読者の気付きに委ねるあたりはやや不満だったが、文学畑の作者なのでしかたあるまい。
問題はそういったことを一切指摘せず「幼い頃、「影踏み」をして遊んだ」「影法師を踏まれるとおのれは死ぬ。そういう象徴的な意味を影法師が持つということを幼い者の心の奥底まで刷り込んでくれる遊びが、他ならぬ影踏みであった」と完全にラリったポエムを3ページにわたって書き散らす文庫版の解説で(※作中に影踏みは一切出て来ない)、普段ミステリばかり読んでいるから知らなかったが、文学畑の作品だと他人の本の解説で純文学を書き散らすやべえ奴が出てくるのだと驚いた。しかも深刻なネタバレ付きなので速やかに破り捨てることを勧める。
22.6.28
評価:★★☆ 5