~あらすじ~
「壇上のメフィスト」の異名を取るマジシャン、ダンジョンイチロウこと吝一郎が、重病を克服した復帰公演で殺害された。
現場は何重もの密室状況にあり、しかもほとんどのガラスが砕かれているという不可解な謎も残されていた。
犯人は吝を恨む「アンチ壇上のメフィスト」なのか? その後も第二、第三と続く密室事件に若き日の南美希風が挑む。
2007年このミス16位、文春10位、本ミス3位、日本推理作家協会賞候補、本格ミステリ大賞候補
~感想~
900ページ超の重厚さに見合った内容かというとスケールは案外小さく地味。細々した機械トリックで鍵を掛けるのがほとんどで、トリック図解もほぼ無いためさらに地味。
人物リストは無く、見取り図、図解がごくたまにしか付されないのも不親切で、文章もただ長いだけならまだしも「二人の顔は、自然にほぐれてきてしまう。悪戯をし合っていた時代がくすぐってくるかのように」のように鼻につくこともしばしばで、非常に読みづらい。
とにかく綿密に事件を検討するためにページ数が増えているだけなので、何を話しているのかおおまかに把握さえすれば、7割読み飛ばしても理解に支障をきたさないのは良し悪しではある。
いちおう全体を貫く大仕掛けもあり、解決編で残らずすっきりと謎が解かれるのは良かったが、本格ミステリというか色んな鍵掛けテクニックを見せられた気になるし、トリックはまだしも事件を成立させるための裏事情に山ほどの都合の良い事象が起こっているのも難。
堅牢な密室を頭良すぎる名探偵がずばずば解いていくのが大好きな本格ミステリ原理主義者みたいな読者なら楽しめるだろうが、一般的なミステリファンは手出し無用だろう。
原稿用紙4000枚の4冊で後半2巻を丸々解決編に費やしても、飽きさせずちゃんと面白かった二階堂黎人「人狼城の恐怖」はやっぱりすごかったのだと改めて感じた次第である。
23.5.5
評価:★★☆ 5
「壇上のメフィスト」の異名を取るマジシャン、ダンジョンイチロウこと吝一郎が、重病を克服した復帰公演で殺害された。
現場は何重もの密室状況にあり、しかもほとんどのガラスが砕かれているという不可解な謎も残されていた。
犯人は吝を恨む「アンチ壇上のメフィスト」なのか? その後も第二、第三と続く密室事件に若き日の南美希風が挑む。
2007年このミス16位、文春10位、本ミス3位、日本推理作家協会賞候補、本格ミステリ大賞候補
~感想~
900ページ超の重厚さに見合った内容かというとスケールは案外小さく地味。細々した機械トリックで鍵を掛けるのがほとんどで、トリック図解もほぼ無いためさらに地味。
人物リストは無く、見取り図、図解がごくたまにしか付されないのも不親切で、文章もただ長いだけならまだしも「二人の顔は、自然にほぐれてきてしまう。悪戯をし合っていた時代がくすぐってくるかのように」のように鼻につくこともしばしばで、非常に読みづらい。
とにかく綿密に事件を検討するためにページ数が増えているだけなので、何を話しているのかおおまかに把握さえすれば、7割読み飛ばしても理解に支障をきたさないのは良し悪しではある。
いちおう全体を貫く大仕掛けもあり、解決編で残らずすっきりと謎が解かれるのは良かったが、本格ミステリというか色んな鍵掛けテクニックを見せられた気になるし、トリックはまだしも事件を成立させるための裏事情に山ほどの都合の良い事象が起こっているのも難。
堅牢な密室を頭良すぎる名探偵がずばずば解いていくのが大好きな本格ミステリ原理主義者みたいな読者なら楽しめるだろうが、一般的なミステリファンは手出し無用だろう。
原稿用紙4000枚の4冊で後半2巻を丸々解決編に費やしても、飽きさせずちゃんと面白かった二階堂黎人「人狼城の恐怖」はやっぱりすごかったのだと改めて感じた次第である。
23.5.5
評価:★★☆ 5