小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『秘密屋 赤・白』清涼院流水

2001年12月23日 | ミステリ感想
  


~あらすじ~
口裂け女、人面犬、トイレの花子さん…。世の中を流れる怪しげな噂、「都市伝説」。いつの世もぼくらが友達の友達から耳にしてきた「絶対に本当の話」。それらすべてを支配するかのように2000年代に出現した、「秘密屋」という万能のオマジナイ。現代社会の神秘が、真っ赤なイメージで直接あなたに語られる。
(秘密屋・赤 裏表紙より)

21世紀開幕早々に間違い電話をかけてきた謎の男は、現代社会の神秘「秘密屋」の正体を知っていた…。1対1。極限のかけひきの末、ついに接触に成功した「秘密屋」は意外な提案をする。「今こそすべて話そう。俺の本を書け」。あの超大物政治家を標的とした戦慄すべき計画、「秘密のヤバイ話」の告白。
(秘密屋・白 裏表紙より)
※文庫化に際し「秘密屋文庫・知ってる怪」に改題


~感想~
退屈。その一語に尽きる。とにかく内容は薄く、自己満足・自己解決にひたりきった品。突然、某妖怪小説家の文体をマネるのは安易に過ぎないか? しかも氏の場合、絶対的な筆力の低さから、無理に1ページに収めようとして、非常にぎこちない文になってしまっている。こんなのをわざわざ2冊に分けて、倍の値(以下自粛)。


01.12.23
評価:なし 0
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ミステリ感想-『日曜日の沈黙』石崎幸二

2001年12月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
密室で死んだ作家の館を改装したホテル。
彼が遺したという「お金では買えない究極のトリック」をめぐり、
趣向をこらした連続殺人劇に挑むハチャメチャトリオ。
興奮の推理合戦の果てに3人を待つものとは?
2000年、第18回メフィスト賞。


~感想~
素人臭い、同人的なノリの修練不足(失礼)な文章がなぜか楽しい。
苦笑しつつも、突き抜けた明るさに思わず引き込まれる。メフィスト賞はすごいなあ。


01.12.24
評価:★☆ 3
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ミステリ感想-『ロシア幽霊軍艦事件』島田荘司

2001年12月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「祖父が、ある女性にどうしても謝りたいと言い遺したんです」
御手洗のもとに届いた一通の手紙。
調査に乗り出した彼が見つけた写真には、芦ノ湖に浮かぶ軍艦が写っていた……!?
本ミス7位


~感想~
ひっさびさの御手洗長編。それも石岡君とのコンビときては見逃す手はない。
奇想と歴史の闇を切り裂く光芒にただ拍手。
しかし……展開の解りきった最終章は必要だったのかなあもっと他に書き方があったんじゃあと、失礼な感想も同時に抱いてしまった。なにはともあれ期待は裏切らない快作。


01.12.23
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『虚無への供物』天藤真

2001年12月22日 | ミステリ感想
~あらすじ~
戦後の推理小説ベスト3に数えられ、闇の世界にひときわ孤高な光芒を放ち屹立する巨篇ついにその姿を現す!
井戸の底に潜む3人の兄弟。薔薇と不動と犯罪の神秘な妖かしに彩られた4つの密室殺人は、魂を震撼させる終章の悲劇の完成とともに、漆黒の翼に読者を乗せ、めくるめく反世界へと飛翔する。
※裏表紙より

日本推理作家協会賞 候補
江戸川乱歩賞 候補


~感想~
日本三大ミステリの一つにして、アンチミステリの最高傑作。……らしい。
構成の緻密さと、同時に成立する脆弱さは妖しくもまばゆい。
だが――気に障るだけの横暴探偵と、もったいつけ探偵には終始イライラさせられる。
明滅する展開はいたずらに混乱を招き、とにかく読み進めるのが苦痛。
これを最高のミステリと断じる作家たちは、影響を色濃く受けているのだとつくづく感じた。
小説として面白いか? と聞かれれば、僕は迷うことなく「否」と答えるだろう。


01.12.22
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『毒薬の輪舞』泡坂妻夫

2001年12月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
精神病院で続発する奇怪な毒殺事件。
自称億万長者、拒食症の少女、休日神経症のサラリーマン……。はたして殺人鬼は患者か、それとも医師なのか?
病人を装い、警視庁の名物刑事・海方が姿なき犯人を追う。

このミス17位


~感想~
あまりに魅力的な登場人物たちに感銘。伏線はいまいちアンフェアだが……さすがの一品。


01.12.21
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『喜劇非奇劇』泡坂妻夫

2001年12月19日 | ミステリ感想
~あらすじ~
落ちぶれた奇術師・楓七郎は、かつての仲間から仕事の依頼を受けた。
船上ショウに出演するため船へ乗りこんだ彼を待っていたのは、なんとも奇妙な連続殺人。
被害者たちはみな、上から読んでも下から読んでも同じに読める“回文名”を持つ者ばかりだった。


~感想~
(ネタバレ→)ハウダニットと見せかけ、実はフーダニットという仕掛けは珍しい。
登場人物が多すぎて飽和ぎみになり、やや雑多な印象。
個人的には主人公に立ち直って欲しかったが。



01.12.19
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『乱れからくり』泡坂妻夫

2001年12月18日 | ミステリ感想
~あらすじ~
玩具商の製作部長を務める馬割朋浩は海外旅行への途上、降ってきた隕石に当たり命を落とす。
新米探偵の勝敏夫は、馬割一族の邸宅『ねじ屋敷』を訪ねるが、そこは巧妙な仕掛けをほどこした殺人屋敷であった。くり返される殺人と推理。江戸時代にまでさかのぼる馬割一族の謎とは?


~感想~
(ネタバレ→)章ごとのタイトルにまで仕組まれた細工、姿なき殺人者と見せてその実……といった真相など、とにかく巧緻。枯れ井戸の件など、多少強引な面もあるが、見事な傑作。


01.12.18
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『11枚のとらんぷ』泡坂妻夫

2001年12月17日 | ミステリ感想
~あらすじ~
奇術ショウの仕掛けから出てくるはずの女性が姿を消し、マンションの自室で死体となって発見される。
しかも死体の周囲には、奇術小説集『11枚のとらんぷ』で使われている小道具が、壊されて散乱していた。
鹿川は、自著を手掛かりに謎に迫る。 


~感想~
すごい。その一言に尽きる。
長編の面白さを、存分に堪能させていただいた。
処女作だけに、軽妙洒脱さは不十分、文体も洗練されてはいないものの、この伏線、伏線、また伏線の細緻さ、
構成の妙味、豪奢さはすごい。すごいすごい。
これぞ魔術、そして至高の大傑作。


01.12.17
評価:★★★★★ 10
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ミステリ感想-『今昔続百鬼-雲』京極夏彦

2001年12月16日 | ミステリ感想
~収録作品~
岸涯小僧
泥田坊
手の目
古庫裏婆


~感想~
こちらの主役は多々羅先生。
超絶推理に面食らう『岸涯小僧』
そのものずばりの妖怪登場に面食らう『泥田坊』
伏線の妙に面食らう『手の目』
黒衣の男登場・このボリュームでなんと書き下ろし! に面食らう『古庫裏婆』

やっぱり、いや、矢っ張りいいなァ。


01.12.16
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『どんどん橋、落ちた』綾辻行人

2001年12月05日 | ミステリ感想
~収録作品~
どんどん橋、落ちた
ぼうぼう森、燃えた
フェラーリは見ていた
伊園家の崩壊
意外な犯人

本ミス3位


~感想~
叙述トリックの本舗はやはりレベルが違った! 全編叙述トリックづくしで満足感嘆。
奇手・妙手・巧手・絶手、アンフェアのそしりをものともせずにくり出される、一読驚嘆の仕掛けの数々。
叙述トリックとはこういうものだと見せつけられた。


01.12.5
評価:★★★★☆ 9
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