小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『人形はライブハウスで推理する』我孫子武丸

2002年12月26日 | ミステリ感想
~収録作品~
人形はライブハウスで推理する
ママは空に消える
ゲーム好きの死体
人形は楽屋で推理する
腹話術志願
夏の記憶


~感想~
人形探偵シリーズ第四弾。前作で完結だと思い「ここで打ち切りにしたのは正解」と言っていたのに続いちゃったw
(毒吐きにつき伏せ字→)とにかく小粒。アマチュア中学生作家でも思いつきそうな浅いトリックばかり。ユーモアミステリだからの一言では片づけられない。
いっこく堂とのインタビューも、第四弾まで書いておいて、『人形はこたつで~』で描写した腹話術師と人形が同時に歌う芸に関し「腹話術でこういうことは可能なんでしょうか?」とは何事だ。取材しろよ取材!

その分、書き下ろしの『腹話術志願』の出来の良さが逆に光ったが。


02.12.26
評価:★ 2
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ミステリ感想-『奇跡島の不思議』二階堂黎人

2002年12月25日 | ミステリ感想
~あらすじ~
孤島“奇跡島”。
昭和初期、名家の娘の手により築かれたが、彼女の不可解な死以来封印されてきた魔島。
そこに眠る膨大な美術品を鑑定するために島を訪れた美大の芸術サークル。
彼らを出迎えたのは凄惨な連続殺人だった。
脱出不能のパニックのなか、メンバーは自ら犯人を探し始めるのだが……。


~感想~
ぶっちゃけ、飽きた。
いかにも氏らしい精緻で丁寧な……そしてただそれだけのお話。
姫の最後にはあ然。あれでいいのか、あれで。
主役をぼかす試みも意味不明。
エンタテインメント性に欠け、とにかく退屈。


02.12.25
評価:★ 2
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ミステリ感想-『ウエディング・ドレス』黒田研二

2002年12月24日 | ミステリ感想
~あらすじ~
純愛か? それとも裏切りか?
結婚式当日の凌辱から、わたしとユウ君の物語は始まった。
そして「十三番目の生け贄」という凄絶なAV作品に関わる猟奇殺人。
ユウ君と再会したとき、パズルのように不可解な事件は完成した。

第16回メフィスト賞


~感想~
デビュー作ならでは(?)の緻密さ。しかし煩雑さは感じず、手際の良さをうかがわせる。
新人ながらにそれなりの筆力。贅肉の全くないトリックの結晶体のようなミステリ。
『トリックメーカー』として名をはせる氏の実力は十分に見せた。(ネタバレ→)しかし佐竹さん登場はやりすぎだろw


02.12.24
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『壺中の天国』倉知淳

2002年12月24日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「全能にして全知の存在から電波を受信している私を妨害しないで頂きたい」
静かな地方都市で奇妙な怪文書が見つかる。
それは、同市で発生した通り魔殺人の犯行声明のようだった。
その後、第二・第三の通り魔殺人が起こるごとにバラまかれる「電波系」怪文書。
はたして犯人の真の目的は?
一見無関係に思える被害者たちを結ぶ、ミッシング・リンクは存在するのか?

本格ミステリ大賞
本格ミステリ・ベスト10 3位


~感想~
第1回本格ミステリ大賞受賞作。
純粋にただ面白い、氏の才気爆発の傑作。豊富な伏線に、淡々と(本当に淡々と)描かれる、日常のおかしみ。
謎めいた独白に秘められた真相(?)がもう……。


02.12.24
評価:★★★★☆ 9
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ミステリ感想-『アンフィニッシュト』古処誠二

2002年12月22日 | ミステリ感想
~あらすじ~
世界の常識がひっくりかえっても表沙汰にすることができない大事件。
二重三重に閉ざされた孤島の射撃場で、何人もの隊員が見守るなか、小銃が消え失せたのだ。
事態を完璧な秘密状態のまま解決するという、不可能な任務を達成できるのか?

本格ミステリ・ベスト10 4位


~感想~
文庫化に際し改題。
いかにも氏らしい緻密な、それだけに窮屈な構造。
問題は提起されるだけ。前作にはない軽妙さが彩りを添え好感。
明らかに打ち止めのはずだった前作からあっさりとシリーズ物になったのは苦笑も。


02.12.22
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『墜ちていく僕たち』森博嗣

2002年12月21日 | ミステリ感想
~収録作品~
墜ちていく僕たち
舞い上がる俺たち
どうしようもない私たち
どうしたの、君たち
そこはかとなく怪しい人たち


~感想~
酷い。(個人的意見です)あまりにも酷い。(個人的意見です)
読み進めていくのを放棄しかけた、危うくゴミ箱に放り込みかけ(以下自粛)。
氷河期到来のような恐ろしいノリで突き進む(個人的意見です)前半部分。後半多少は持ち直したものの、練った細工の一つもない、手すさびのような(言っちゃった)品ぞろい。
マジメに論評する気さえなえる。


02.12.21
評価:問題外
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ミステリ感想-『Yの構図』島田荘司

2002年12月19日 | ミステリ感想
~あらすじ~
上野駅地下の新幹線ホーム。
終着ホームにすべりこんできた上越新幹線から服毒自殺をはかった女性の死体が発見された。
その反対側のホームに4分の間をおいて到着した東北新幹線の車内からは男性の死体が発見される。
死因はともに青酸カリ。心中と見られたこの事件を、しかし吉敷は他殺とにらみ……。


~感想~
仕掛けといい解決といい釈然としない。中盤以降の展開は氏らしくないとすら思えて……。いまいち。


02.12.19
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『ルー=ガルー』京極夏彦

2002年12月15日 | ミステリ感想
~あらすじ~
2030年代。清潔で、無機的な徹底した管理社会。
少女たちは携帯端末を持ち、全ての行動は把握されており、世界はモニタの中だけに存在していた。
ところが14~15歳の少女ばかり狙った連続殺人事件を契機に、彼女たちは仮想の世界から飛び出す。


~感想~
舞台となる未来社会の設定を読者から公募で求め、作品に仕上げたインタラクティブ小説。
なんという余分なことを……。(暴言)
疾走感ある文体はさすがも、終盤の武侠小説さながらの展開は、少々加速しすぎか。
結末と副題の結実が美しい。たかが30年後がかくも進歩し、かくも殺伐とするとは思えないが……。
京極作品らしい緻密さはうかがえない。欲を言えば(ネタバレ→)葉月がもうちょっと活躍しても良いのでは?
なにはともあれ、こんな題材でもこれだけ楽しませてくれるなら、文句は言うまい。(手遅れ)


02.12.15
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『幽霊刑事』有栖川有栖

2002年12月05日 | ミステリ感想
~あらすじ~
警察官射殺事件。
フィアンセを残して俺は死んだ……はずが、幽霊としてこの世に留まることに!
しかも、犯人の上司は密室状況で何者かに殺されてしまい……。


~感想~
トリックの切れよりも設定の奇異さに重点が置かれてしまったか。
陳腐と失笑のはざまを揺れるつたない文章。いかにも舞台劇といった構成。
筆力の限界でしらけるばかりの哀嘆と、難点は数々あるが……ひさびさに楽しめた。
ひっさびさに面白いアリスを見た感。


02.12.5
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『奥様はネットワーカ』森博嗣

2002年12月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
スージィこと内野智佳が勤める大学周辺で暴行傷害事件が多発する。
智佳の周辺でも不気味な出来事が相次ぎ、
友人のルナも被害に遭ってしまい……。


~感想~
意外な真相も、巧みな伏線なしでは全く活かされない。私的なノリにはついていけません。
結局は繰り言のような内容・動機はいいかげん辟易。


02.12.3
評価:なし0
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