東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

東京裁判の隠されたテーマ、別解続き

2007-12-25 10:44:55 | 今日も穴埋め(議論の)

隠されているが一番大事なポイントは天皇を訴追するか、どうかという問題である。日本政府はポツダム宣言の受諾を通告する文章に次のごとき趣旨の修飾句を加えている。「国体の維持(天皇制の維持)が守られるとの了解のもとにポツダム宣言を受諾する」

日本政府は直前までこの確約を連合国から得ようと必死の努力をしたが明確な回答はなかった。保証もないが、断定的な否定もなかった。そこで上記のような期待的条件をつけたのである。日本政府は持てるすべてのチャネル(中立国政府、日本の諜報機関情報、バチカン、欧州の特定の王室と皇室の非公式のチャネルなど)を通してかすかな希望を持っていたこともある。

アメリカはこの日本の弱点を最大限に利用した。後刻適切なタイミングでこの問題の保証を示唆すれば、多くの見返りが期待できたのである。天皇訴追を回避するために日本政府、東京裁判の被告は多くの譲歩をしたものと考えられる。

周知のように東京裁判の告発は満州事変から始まっている。ところがこの満州事変に酷似する国際問題が満州事変のわずか30年前に起こっている。しかも当事者は東京裁判の検察側であるアメリカである。すなわち19世紀と20世紀の交わりにアメリカがハワイ王族一家を拉致監禁して、アメリカのサトウキビ入植者の植民地にしてしまったことである。

当時、日本はアメリカの不当行為を糾弾するためにハワイ沖に日本の軍艦を派遣している。当時のことは日本軍部の記憶に生々しく残っている。日本側の弁護団はアメリカが満州を言うならハワイの問題を持ち出してくるだろう。これを回避するためにアメリカは天皇訴追問題を持ち出して脅迫し、満州事変から始めることを日本側にのませた。まるで、満州事変以前には歴史が存在しなかったみたいだ。

満州事変の首謀者で、理論家として知られた石原莞爾将軍をアメリカは戦犯に指定しなかった。当の石原中将は「満州事変が問題ならなぜ俺を戦犯に指定しないのだ」といきまいたが、アメリカは知らん顔だ。法廷でハワイの問題を持ち出されたら往生するからである。

アメリカがキーナン主席検事を通して東条英機などの被告に天皇訴追にならないようにと弁護の際の注意を与えていたことは、多くの文献であきらかである。

この別解の正解率は45パーセントである。


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