小沢一郎が居直っている。土地購入に関するお金は、父からの遺産であったと、逮捕された石川氏が供述している。党首の鳩山由紀夫は、ママからお金をもらっていたが、幹事長の小沢一郎はパパからのお金だというのである。世襲政治家は地盤、看板、カバン(お金)をたくさんもらって結構なことだ。
今回の秘書3名の逮捕で小沢一郎に理解を示したくはないが、警察官僚の反逆とも見れなくはない。事情聴取の可視化や官僚への老後の補償をなくしたり国会の答弁を禁止したりと、官僚の権限を小沢が削ぎ落しまくっている。
今回が単なる記載ミスや報告ミスなら、この程度のことはこれまで立件はおろか、逮捕などされてこなかった。安倍も麻生にもそのようなことはあったが、事務的な訂正と報告だけで終わっている。昨年の西松建設問題以来、小沢一郎に限ってだけ秘書が逮捕されている。しかも今回は通常国会を前にした、元秘書とはいえ議員の逮捕である。情報も検察リークが圧倒的である。
かつてのように検察の逮捕劇に、国民はエールを送らなくなった。正義としての振る舞いとみるには、あまりにも検察は自公政権寄りである。普天間問題に見られるように、自民党政権が永遠に続くと思われた時代の官僚の残党が、影に日向になって民主政権を揺るがしている。今回の逮捕劇も極めて恣意的な匂いがする。せっかく政権交代したのであるから、官僚も入れ替えるべきなのである。アメリカはそうしている。3000人もの役人が入れ替わるといわれている。制度が異なるが、そのための周到な準備もなされている。
職務権限のない当時の野党の小沢一郎をいくら追い詰めても、贈収賄で起訴などできるはずがない。しかし、小沢を政治的に追い込むことは可能である。検察の狙いはその辺りにあるのではないか。彼らはどっちに転んでも、何のお咎めもないお役人である。
今回の最大の問題は、企業献金に依存する古い体質を持った人物が、政権交代した政権の中枢にあり、それを仕切っていることである。民主党は企業献金の中止を鮮明に打ち出すべきである。でなければ、脱ダムへの道も意味がなくなってしまう。更に、政党助成金のあり方にもメスを入れるべきである。企業献金が中止されたら、日本共産党も政党助成金を受け取るであろう。
それにしても、主要な人物を全て閣内に送り込んでしまった民主党には、党内を取り仕切る人物が小沢の他にいない。彼が辞めない理由も、彼を辞めさせたくない理由もここにある。小沢に権力が集中し過ぎたのである。