沈滞し低迷する世界経済にあって、元気いっぱいなのが中国である。社会主義体制(?)を自負し、銀行が事実上国営の状態であり土地の収用でもいとも簡単にやってのける。
政策決定が、上意下達が思いのままの共産党一党独裁体制であることを、存分に活用して経済発展を遂げている。政治体制は社会主義で経済はサイバー資本主義(?)で昨年は10%を超えたそうである。今年中に日本を追い越して、世界第2位の経済大国になる。
もう一つ大きなことは、今年1月1日より発行した、中国ASEAN自由貿易圏の発効である。この自由貿易圏は、19億の人口と、6兆ドルのGDPで現在の年間貿易額が4億5000万ドルにもなる、世界最大の自由貿易圏の誕生である。
ASEAN各国の思惑は、中国の安価で豊富な商品の輸入であり、世界最大の市場である。ASEAN諸国と一括りは難しいが、これらの多くの国を支配するのはいわゆる富裕層である。彼らの思惑を優先しての、自由貿易圏の締結であったであろうが、起きる問題は逆になる公算が大きい。
安価で豊富な中国の製品によって、それぞれの国の中小産業が深刻な状況になることが予測される。事実上無関税によって、それぞれの国が育んできた産業が追い込まれrくことが十分起きうるのである。
日本にとっても、伸び盛りの薄型テレビなどが、安価な労働力によって稼働し始めると一気に追い込まれることが予測される。とりわけ、今は少し落ち着いている農産物も、日本のノウハウを取り込むことで、安全性を高め東南アジアからも大量に輸入されることが起きる。
もっと大きな問題は、中国が一気に巨大化するだけでなく、政治的地歩を固めることになると思われる。日本は一気に斜陽化するばかりでなく、米中の狭間からしか世界を語れなくなるかもしれない。鳩山首相の東アジア共同体構想は、そうした意味での歯止めになるかもしれない。