安倍政権は農産物の輸出額を、2020年までに1兆円にすると豪語している。それが、実態を踏まえることにない絵空事であるのが、上のグラフである。
確かに平成24年度に比較して25年度は22%増になっている。26年度も同様に20%程度の増加になっている。この分で伸びれば、確かに2020年ころには約倍の、1兆円にになることも考えられる。
然しこのグラフは、農産物の実量ではない。金額である。アベノミクスの第一の矢で、円安が進行している。この輸出増は単に円安が進行したからに過ぎない数字であることが、冷静に見ると解る。政府の奨励で確かに増える輸出品目もあることも考えられるが、長期的に見れば実体経済を置き去りにした金融緩和策の作り出した亡霊でしかない。
農村では高齢化と人口流出が深刻である。都会周辺の農家が、自ら販売まで手掛ける6次化を報道はするが、農産物の生産が伸びているわけではない。米作り農家は暴落したコメ価格に例年の半額の所得になっている。民主党が作った所得補償政策も半額になり2年で消滅する。
農業の規模を起きくすることだけを奨励して、農業に対する実質的な支援がないままで、輸出額(量ではない)の増加を喜んでいられない。
同類のことは株価の上昇にもみられる。平均株価は今や、18,000円台にならんとしている。円安で海外投資家が日本の株を買い支えている結果とは、誰もが知っていながら口にしない。株価の上昇は一時のバブルに終わるのではないか。
安倍首相は、海外からの観光客は30%も伸びて、1300万人超え過去最高となったと鼻高々である。円安で治安のよい日本を観光客が選択したのだと思える。
円安効果によって、トヨタは過去最大の収益を上げている。政府は経済政策の都合の良いところだけを引き出しているだけである。既にアベノミクスは破たんしているといって良い。