このグラフは今月号の「通販生活」から失敬したものである。余りにも解り易いグラフなので、よく見るまでもない。国債発行残高867兆円に借入金などを合わせると、日本の借金は1038兆円ににまでなっている。
この記事の説明者の、慶応大学の小林敬一郎氏は確実に国家の経済は破たんすると断言している。本ブログでも、12月に財政再建について述べているが、この時には政治家が自国の保有者が多いので安心しろということを批判した。
負債が1000兆円を超えているのに、一般会計は100兆円を超えて、国債発行額も年々増加してついに税収を上回ってしまった。これを一般家庭の収支として一万分の一にたとえてみると、年収が500万円なのに、500万円の借金をして1000万円の生活をしている。そして借金が1億円あるというのである。
尋常な状況ではない。負債を減らないまでも現状維持するだけで、毎年50兆円減らさなければならない。それに金利が20兆円で合計70兆円を返済に充てれば、借金が増えないというのである。
小林氏は税収を増やし、例えば消費税を35%にして現在の経済が維持されていれば、50年後に返済できるというものである。学者らしい冷静な発言であるが、現状はもっと深刻である。
安倍政権と自由民主党は、これを経済成長で税収を増やすことで賄おうというのである。アベノミクスはそのためのものである。少なくとも幻想が二つある。一つは企業特に大企業が成長すれば、日本全体が潤うという幻想である。もう一つが、公共事業による景気刺激策である。これは一時の地方の土建屋が潤うだけである。こうした無目的の事業が財政破たんを招いたのに、それをまたやろうするのである。
高度成長期の主戦力は高齢になり年金を貰う立場にある。社会構造が全く異なる現在に持ち込む幻影である。
小林氏は仮に成長が起きたとしても、せいぜい2%程度にしかならないというのである。これでは経済成長による税収は望めるわけがない。現実には1%あるかないか程度でしかない。成熟社会と呼ぶべき日本に、それも無理であろう。経済成長による税収増は無理である。
構造改革と歳出カットは、官僚に阻まれて実現できていない。選挙でもほとんどの政党はこれには触れない。ポピュリズムに徹して甘いことしか発言しない。近視眼的な無責任候補ばかりが当選する、小選挙区制の結果である。そうした中でもグラフの赤い線は右肩上がりで伸びているのである。