
今日は元ビートルズのジョン・レノンの命日であるが、太平洋戦争開戦の日、真珠湾攻撃の日でもある。真珠湾攻撃を命じたのは国家であるが、最高責任者は山本五十六である。山本の海外での評価は高く、航空機による艦船攻撃という新たな道を開いた。山本は開戦の次週のタイム誌の表紙に即取り上げられ、日本の侵略者として紹介されている。
連合艦隊司令長官山本五十六は、海軍の中で最も世界情勢を知っていた男と言われる。二度のアメリカ留学などにヨーロッパにも出張していた。彼は近衛文麿首相に、「半年か一年は暴れて見せますが、それ以上は保障できません」と、アメリカとの開戦に難色を示した。その直後に華族のお坊ちゃまの近衛は降ろされ、好戦的な陸軍大臣の東条英機が首相に就き、山本の言質の前半だけを引き出し、作戦を命じた。
日独伊三国同盟に体を張って反対をしていた山本に、非情な命が下った。軍人である以上全力を尽くすと、盟友の堀悌吉に述懐している。1941年12月8日の戦闘機350機による真珠湾攻撃は、山本の意思に反して宣戦布告前の不意打ち攻撃であった。山本の言葉通りに半年間は優勢に戦ったが、翌年の6月のミッドウェイ海戦で、日本は大敗北をする。これ以降大本営は虚偽の戦果を発表をし、虚偽の戦勝ばかりを国民に知らせ、国民は架空の戦勝に酔いしれることになる。
アメリカは真珠湾攻撃の痛手を検証し、日本海軍の力量と航空機の活用など後の戦いに生かしている。珊瑚湾の海戦は大きくアメリカ海軍を変え後の戦闘に役立てている。特に電信の暗号解読には大いに力を入れ、山本の戦闘機撃墜したり日ソ交渉などに暗躍したりと、日本の応報は筒抜けになる。
これに比して、日本軍は敗戦をひた隠し、戦闘結果に学ぶこともなく虚偽の戦勝に酔いしれる。大和魂があればと散華を命じ精神論で鼓舞し、天皇陛下万歳と神国日本の腐敗神話を叩き込む。南方での戦死者の8割は飢餓で死亡したことなど、今だに責任の所在さえ明確でない。
安倍晋三が政権を執ってから全く同じ構図がこの国で行われている。架空の指標を羅列し虚偽の経済政策成果を誇張し、貧困層の増大や平均所得が今や世界の20位程度に落ち込んだことなど自助の枠、自己責任の中に封じ込めてしまう。虚偽の経済政策の成果の大本営発表を疑わな人たちはこの国を支えるのである。
政権に不都合な事実は破棄・隠蔽・改竄する体質は、開戦を決断した東条内閣の商工大臣の孫が踏襲するのである。日本会議の国粋主義に支えられ、先の戦争はもっと上手くやると勝てていたと、暴走を並べるのである。ただその当時の軍人たちの潔さは全く引き継いでいない。
追記:昨日のブログは事実に反する部分があるので削除しました。