フォーブス・アジアは、日本の富豪上位50人の合計資産がこの1年で前年比、48%増えて24900億ドル(約26兆9千億円)となったと、今日(22日)発表した。国家が大量に買い上げた株式相場の活況が要因であろう。新型コロナの流行で日本国内では飲食店の倒産や雇い止めが広がるなど貧困層の現状を尻目に、更に格差が拡大したと言る。
2021年版の長者番付によると、上位50人全員が資産10億ドル超の「ビリオネア」となったのは初めてである。1位はソフトバンクグループの孫正義会長兼社長で、資産は444億ドル(4兆8千億円)、2位はファーストリテイリングの柳井正会長兼社長で、420億(約4兆4千億円)ドルである。柳井氏の資産は1年で90%以上増えたのであるが、中国市場が後押ししたのであろう。
上の表は4年前のものである。しかいよく見るとこの表は、下の広がりが不正確である。最下層は全体の46%に、下の2層で67%になり、正確に表現すると上層部が点になってしまう。この時点でも巨大な富裕層が圧倒する個人資産が巨大であるが、現在はさらななる格差が広が蹄るのである。
東西冷戦が終結したとたんにレーガン・サッチャーが資本主義国の勝利を宣言する。と同時に、後に名付けられる”新自由主義”が200年前のアダム・スミスの富国論を掲げて登場する。市場があらゆる価格を決め、経済効果のないものは排除される。なぜアダム・スミスが復刻したのか緒論はあろうが、社会主義国が崩壊した勢いが安易な200年前の富国論を喚起したことは疑いないことである。
以来市場経済最優先、経済成長が至上命題となり世界を席巻する。効率を求めて人々は都会に集まり、経済活動をGDPで評価する。
金で評価されると購買能力が高い方がが勝つに決まっている。大企業はより大きくなり、都会はより巨大化する。資本は資本を呼ぶ。それは金融でも同じことが起きる。
これを是正するのが政治である。ところが現政権は、圧倒的に多い貧困層から金を吸い上げるシステム消費税を導入し、企業には税の優遇や規制緩和を提供し、献金をいただく。
経済を理由に国民の側に立たずに企業側に立つ。政治は税金や制度によって、富の再配分をすることを放棄しているからである。