そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

日本の家畜は、人と競合する穀物を大量に食べ生産している

2015-11-12 | 安倍晋三
一昨日のこのブログに、「牛乳大好き」さんという方からコメントがあった。日本の牛乳は大丈夫かというものである。日本の牛乳は衛生的にはほぼ完ぺきであろうと思われる。そうした管理には日本が得意な分野であるからである。然しその牛乳を生産する、乳牛と酪農の世界では消費者たちがなんとなく頭で描くほど、健全な状態ではない。とりわけ穀物の給与量が異常なほど高いのである。

日本をはじめとする先進国の家畜は、大量の穀物を給与されて畜産物、卵、鶏肉、豚肉、牛肉、牛乳を生産しているのである。その穀物は人と競合するのである。穀物は家畜用であって、品種や栽培方法や化学肥料の規制も大きく異なる。しかし、個別の品種として競合はしないが需要と価格によって人用のものを転換したともいえるのである。
地球上の人口は、72億人と推定される今後も増加するものと思われる。上記のグラフを見ればわかるが、需要は右肩上がりである。生産もこれに追いつき右肩上がりなのである。穀物生産量にはいつの日か限度が来る。土地がないばかりか、放棄される農地の増加や砂漠化によって栽培面積の増高は期待できない。現在伸びている生産量も、大量の化学薬品と農薬と遺伝子操作(GM)作物などの、農業の基本に関わる問題もある。
更に、人口が増加するのは飽食国家などではなく、貧国が人口を増やすのである。更に、上のグラフを見ればわかるが、下の棒グラフは穀物の在庫量であるが全く伸びていない。トレンドとして減少傾向にある。
穀物在庫の減少は穀物生産量と給与量と、食料危機の備えに関する問題に留まらない。在庫を抱える国家や大企業の穀物メジャーが価格操作することが容易になることを意味する。相対的な在庫量の減少傾向は、戦略物資として穀物の存在が大きくなっていることを意味するのである。
こうした中でも、日本は食料の自給率が僅か40%になっているのである。更に、自民党の公約違反のTPP参入で、自給率は18%程度になると試算されている。日本の農業政策は全く世界の食料事情を見ていない。安倍晋三の言う攻める農業というのは、価格だけに特化した儲ける農業のことであって、生産量のことなど全く考えていない。

先進国の、家畜に大量の穀物を給与するシステムは、こうした穀物・世界食糧事情に大きく関与していることを記憶いただきたい。そして、給与される家畜は高生産に苦しみながら、穀物を肉や卵や乳に変換しているのである。農村にかってあたった、ゆったりとした時間は今はなく、懸命に毎日の生産量に追われる年老いた農民の姿がある。

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