会場建設費が当初予算のほぼ倍の2350億円程度にまで膨み、問題が大きくなっている大阪・関西万博である。
昨日(27日)の参院予算委員会で会場建設費以外にも、日本のパビリオンである「日本政府館」(日本館)の建設費に約360億円かけるほか、警備費や途上国の出展支援、機運醸成などの費用を合わせて少なくとも計837億円を国が負担することが明らかになった。
しかも日本館は、2024年度当初予算案の概算要求では308億円となっていたのだが、物価高を理由に約360億円にほぼ30%アップさせた。
昨年、大阪府市などが出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」の建設費も当初の74億円から99億円に34%も増えている。
こんなドンドン増える建設費用を岸田にお願いするのは、身を切る改革が看板のの日本維新の会である。これまでさんざん岸田の経済対策を批判していながら、衆院での2023年度補正予算案の採決では補正予算に、万博関連予算が含まれているのを受けて賛成に回ったのである。狭量な政党である。
350億円も費やす「大屋根リング」であるが、無駄遣いと言われたら、吉村洋文知事は「日本最高の木材建築技術を使った万博の象徴であう。釘を使っていない、国宝・清水寺の技術」と譲らない。橋下徹もテレビやSNSで吉村を擁護する。
お笑いなのが、経産省は「リングには一部、釘もボルト等も活用する」と答弁しているのにである。
万博関連の費用は、会場建設費やパビリオン建設費だけでない。万博会場後のカジノ建設地となる人工島・夢洲のインフラ整備費が別途、かかってくるのである。
大阪市はもともと夢洲のインフラ整備費として930億円を計上していたが、これが現時点で2000億円近くまで膨れ上がっている。今後、新たに1000億円が必要になる可能性があり、さらに万博開催とセットになっていた高速道路整備にも約3000億円が費やされる。しかも、そのうち大半が国と大阪市の公費負担になる。
大阪万博インフラとして、大阪メトロ中央線を延伸して夢洲の万博会場に隣接する夢洲駅を新設するが、工事費が会場建設費が当初は延伸と駅の新設で約540億円の工事費とされていたが、地中障害物の撤去やメタンガス対策などで約96億円、駅の構造強化や通路拡幅などで33億円、追加され、現在でもは669億円まで、およそ25%高くなる計算である。
この費用のうち、カジノ関係や鉄道事業者が負担するのは、国費から88億円、大阪市の一般会計から88億円、大阪市の港営事業会計から273億円計、450億円が投入されることが決まっている。
夢洲駅は、事業者を募集して負担させるとしていが、公募しても応募事業者は一社もなく、市が約30億円をかけて整備することになっている。
さらに大きいのが、万博開催予定地で開業予定のカジノ建設の建設費である。
ここは廃棄物の最終処分場だったため、汚染土壌の改良その対策に788億円がかかることになっている。
当時大阪府知事の松井一郎が2016年に、「カジノに税金は一切使いません。民間事業者が大阪に投資してくれるんです」と断言していた。この事実が発覚すると、788億円を上限に土壌対策費を大阪市が負担することを決定してしまった。これについて、大阪市は賃料収入等で回収していくと説明している。
さらに問題なのは、この土壌対策費には地盤沈下のための対策費が含まれていない。現状は地盤沈下の対策はカジノ事業者が実施することになっているが、今年9月に大阪府市と事業者が締結した協定では「市が使用した埋立材が原因で通常の想定を著しく上回る大規模な地盤沈下や陥没が生じた場合」は市が費用を負担するとしているのである。
夢洲は廃棄物の最終処分場として大阪市が埋め立てて造成した人工島である。関西国際空港でさえ地盤沈下をつづけている。巨額の地盤沈下対策費の負担を市が迫られる可能性は高いだろう。
万博・カジノ事業の事業費の上振れは必ず起きる。それは日本の公共事業が全てそうであるように、事業申請は極めて引き見積もり、事業計画だけは通して後に追加予算を捥ぎ取る手法である。、大阪府・市と日本維新の会の奸計すら見え隠れする。万博・カジノ事業は行きつくところ、1兆円すら超えることになる。夢洲に万博呼んでカジノをつくる構想は、松井一郎の独断で決定された、大阪維新の会の看板事業である。
こんな馬鹿げた事業を、国力の著しく低下した、少子高齢化、人口減少の国家が取り組むべきことではない。今やれる最大のリスク回避は即刻中止することである。