私の兄が肺がんで死亡した。遠隔地であることもあって、また縁戚者が少ないこともあって、発病からの数年間は何度も入院などにつきあった。肉体的にもきつかったし、精神的にもきついものがあった。兄の病因はタバコである。たばこが原因の肺がんによる死亡である。
肺がんのの末期は悲惨である。意識があり呼吸器以外は正常な状態で、呼吸できない苦しみは表現し難いものがある。冗談好きの兄は、意識が亡くなる直前 の、「何か欲しいものあるか?」との質問に、苦しさの中にも「酸素」と答えた。笑うに笑えない末期の言葉である。
タバコを45年間吸い続けた結果、先ずCOPDになった。肺気腫と呼ばれている。肺の肺胞と呼ばれるブドウの房のようになっている、先端が脱落していく病気である。脱落するために回復することはない。進行性で不可逆性の反応である。気管を多少広げる薬剤を使う程度でしかない。これは明らかにタバコが原因である。
更に気管の下部になる気管支の、タバコの煙を直接受けるところに、がんが発生した。COPDとのダブルパンチである。外科処置は不可能の状態と判断された。兄の入院病棟には、常時100人近い肺がん患者がいる。彼らのほとんどはタバコのよるものと思われる。喫煙を希望する人は、この呼吸器病棟に来てみるが良い。喫煙が愚かな行為であることがすぐ分かる。半年後には患者の半分は入れ替わる。
兄の部屋は煙草のヤニで黄色く黒ずんでいた。壁もカーテンも家具一切がヤニで黄色くなっている。ものをどかすとそこだけ白い。喫煙者の肺も同様である。これほどまでにはっきりしているタバコを販売することは犯罪行為だと思われる。
タバコを1000円にしろと以前述べたことがあるが、やはり販売禁止にするべきだと、肺がんで苦しむ兄の死を見つめて痛切に思った。
酸素がほしいという言葉に実感があります。お兄さんとは最後まで良い会話ができたと思います。
昨年亡くなった母の最後の言葉はお茶を持参したときに、「お湯沸かせるようになったんだ。ありがとう。」という言葉でした。
最近、女子大生がくわえタバコで歩いている姿をたまに見ますが、愚かな生き方ではないのかと思ったりします。
私も元喫煙者の一人でしたが、タバコ消費税を徴収して一部を地方自治体にばらまいて
小売するシステムもおかしいと思います。