日本の医療制度は”混合診療”を認めていない。混合診療とは、保険で認められていない医薬品や療法を、一般診療とともに混合して診療すること出るが、日本の保険制度はこれをを認めていないのである。混合診療は診療全体を保険適用外となるのである。
混合診療の解禁を唱えているのは、みんなの党と日本維新の会だけであるが、自民党も認める方向に動いているかにみえる。規制緩和なら何でもいいというのであろう。もちろんTPPがらみである。
混合診療の意味を判断するためには、現在直面している病気の治療にばかり目を取られて、その後多分製薬会社などが今後選択するであろうことを見失ってはならない。海外で認められているのなら、良いであろうというのである。
海外の多くは、というよりほとんどがアメリカであるが、実効があるならそうした医薬品や療法は、ほどなく認められることがほとんどである。これまでは日本の治験しか認められてこなかったが、相当いい加減と思われるような海外の治験でも、現在はその壁は相当低くなっている。
問題は製薬会社の体質である。新薬の開発には相当な空振りがある。医薬品の製造だけら相当安価にできるが、製薬会社には結果的にまった効力のない大量の製品の製造や、臨床実験も欠かせないのである。
混合診療が、保険制度で認められるようになれば、、膨大な治験例を提出してまで保険対象医薬品にする必要がなくなってしまう。保険対象評価には価格も当然あるが、そうしたハードルも外されることになる。
論外と言われればそれまでだが、説得されたりして患者が望んだ、インチキ療法や全く無効な医薬品が、評判を武器にまかり通ることもある。
いずれにしても、混合診療が認められれば保険適用外の医薬品の方が、必ず多くなる。経済原理である。財務省も厚労省も財政負担軽減を喜ぶことになる。結局日本が世界に誇る、皆保険制度が実質崩れることになる。TPP参入派とアメリカの思惑である。
確かに保険適用についてはもどかしさもあるだろうし、お役人方の殺生与奪権の苛立ちもある。混合診療を導入することのリスクと保険制度の崩壊につながることを考慮すれば、混合診療解禁に踏み切るべきではない。