そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

戦争を心に刻み反省する人、今度は上手くやると政治をする人

2016-12-11 | 戦争
時折見る、NHKBS1の歴史検証番組がある。武士の台所などで知られる、歴史学者磯田道央が進行する番組である。今回は、「太平洋戦争 幻の航空機計画」というものであった。終戦間際に、アメリカのB29を凌ぐ巨大な戦闘機の政策が計画されていた。そのことは幼いころ、何となく戦争ロマンのように知らされていた。中島飛行機が計画していたもので、”冨嶽”と名付けられアメリカ本土を爆撃する計画であった。資金と時間がなく終戦間際になって、ゼロ戦政策に力が移ったという内容であった。
番組では、知ったかぶりの学者が、「中島飛行機の技術者は戦後は平和のためにその技術を生かした」とコメントした。これに明らかに立腹したかに見える、航空機評論家の鳥養鶴雄氏が言わせていただきたいと切り込んだ。
鳥養氏は、戦後まもなく中島飛行機を引き継いだ富士重工に入社した技術者である。戦闘機を開発した人たちは終戦とともに、冨嶽の設計図はもちろんのこと、あらゆる資料を焼き尽くしてしまった。そして、鳥養氏は次のように述べたのである。「軍用機を開発した技術者は全員私の上司である。戦後軍用機のことは全く語らなかった。人殺しに関わったことを深く反省していた。彼らは冨嶽を誇ったことは一度もない。戦闘機に乗った人間も作った人間も、多くの人が亡くなっている。平和を守るためという言葉は、まやかしでしかない。」というのである。
そして、「軍用機の政策は本当はだれも望まないことであったが、戦後はどうして平和産業に技術を提供するかということを考え続けていた。」そうして車や航空機など様々な機械の制作に携わった。全く別の世界に行った技術者も沢山いたというのである。
司会の磯田はいつものようにまとめることができず、鳥養氏の言葉を追認して番組は終了した。

この話の対極にいる人物がいる。岸信介である。太平洋戦争開戦時の閣僚であったが、A級戦犯になりながら戦後は首相にまでなった男である。そしてその孫の現首相の安倍晋三と日本会議の面々である。
満州事変から始まる一連の戦争は、欧米からアジアを守るためのものであって、太平洋戦争はアメリカに仕組まれたものであり、多くの失敗などがあったが、上手く立ち回れば勝てた戦争であったという主張である。憲法ですら、明治憲法を踏襲する草案を作って、戦前回帰を目指している。
安倍晋三が日本軍が急襲した真珠湾に行って慰霊をするそうであるが、直前の日露首脳会談の領土交渉の失敗を覆い隠す政治的パフォーマンスでしかない。本来なら南京に行って慰霊するべきである。中国は複数個所異例の場を用意していると言っている。
戦争を根底から反省するのであれば、憲法の精神を重んじ武力の放棄を真っ先に考えるべきなのである。中島飛行機の技術者の爪の垢でも飲ませたいものである。


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 賭博の解禁と集団的自衛権行... | トップ | 中国が世界の穀物在庫のほぼ... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
慰霊であって謝罪ではない (和久希世)
2016-12-12 14:01:46
安倍総理は真珠湾に行くのは慰霊であって謝罪ではないと言っている様ですが、
攻撃した側政府の現在の責任者が、慰霊に来て、
「私はあの時攻撃して悪かったと、謝る積り等ありませんよ。只、安らかに眠って下さいと言う為だけにここに来ました。」と言ったら、
眠っていた霊も起きて来て、
「それなら何のために此処に来たのだ?」と、
安倍総理の慰霊で、安らかに眠るどころか、
反対に眠れなくされてしまったと怒り出すのではないでしょうか?

安倍総理は謝る気がないのに、現在の日本政府責任者として慰霊に行く等、
その時に殺された霊(もし未だ其処に居るとして)にとっては、迷惑至極の事だろうと思います。

だから、安倍総理が謝罪する気はない、慰霊だけの訪問っですと言ったら、
犠牲者遺族からも、不平が出るのではないでしょうか?

日本は属国だから、
広島の原爆犠牲者が、オバマさんの謝罪でない慰霊を、受け入れたことになってはいますが・・・・・
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

戦争」カテゴリの最新記事