日本国際貿易促進協会(会長:河野洋平)訪中団の一員として、玉城デニー沖縄県知事は3~7日にかけて中国を訪問し、李強首相や王文濤商務部長ら要人と相次いで面談した。中日大使の上位の席を与えるなど、中国側の厚遇ぶりが際立ったものであった。
訪中は玉城知事が今年から取り組む「地域外交」の一環に位置付けられたものである。今回は経済や文化交流に重点を置いたもので、沖縄との直行便の開設など提案している。
外務省は、尖閣について触れなかったなど、不快感を示している。NHKは解説員を通じて、中国に誤ったメッセージを送ることになるなどと、かなり踏み込んだ内容で訪中は誤った行為とまで言及していた。
報道全般も冷ややかか無視状態といえる。NHKの誤ったメッセージ云々などは、外交音痴の話である。外交は単色で行われるものでもなく、論理のすげ替えや前言否定など当たり前である。外交は言葉や行動の裏を見つめることも重要なのである。
こうした多色、多方面からの路線を残しておくことこそ重要なのである。日本のアメリカ基地の75%を配備する沖縄県知事の訪中は極めて大きな意味を持つ。
玉城知事の訪中こそが、安全保障の一貫であるともいえる。
そしてこうした近隣外交の多様性は、歴史的に民族的にも近い関係を深めることになる。
政権とその支援者たちはピンポン外交を忘れたのであろう。中国を成果から孤立させていた、ソビエトから引き剝がし世界に開放したのは、ニクソンのピンポン外交であった。そして日本では、戦時中の親日派たちと新劇の人達であった。いずれも国の正式な表立った建前と異なる形で難局を切り拓いてきた。
最も中国の目障りとなった、ミサイル群が並ぶ沖縄の知事を歓迎した中国のシグナルを、日本は見失ってはけない。
玉城デニー知事にアッパレを与えない。