民主党がマニフェストに沿った方針を打ち出している。国会が始まってもないし、政権交代が終わったわけではないが、大きな転換時期である。大いにこのようなパフォーマンスはさしあたりでもやっておく必要がある。そして、あちこちから反論が噴出している。
反論の多くは従来の思考方法から脱却していないものばかりである。高速道路が無料化されると、都市間バスを使わなくなるから反対と、どこかのバス会社の連盟が早速民主党に陳情に行っていたようである。マスコミを集めて反対との態度を表明していた。
これはおかしくはないか。明らかな構造転換を図ろうとしているのに、それからはじき出されるからその補償を要求するのである。早くに打ち出しておけば、多少は面倒見てくれようと思うのは従来の自民党政権下での発想である。この種の陳情に民主党が応じるかどうか、見極めな ければならない。
あるいは、せっかく買ったETCが使えなくなるので無料化は困る、などという論議は払い下げ願いたいものである。高速道路の無料化は、国が建設当時から打ち出している実行されていない規定方針である。政府は方針転換を打ち出したこともない。無料化による企業側や道路運営上の混乱もあるだろうが、それは高速道路無料化の本質ではない。自民党政権下で、無料化による経済効果の試算を秘匿したのを見れば解る。次々と無用でも道路をつくりたいお抱え国会議員様がいるのである。
CO2削減についても、明確な試算がない。車によるCO2排出の問題の多くは、渋滞によるものである。大型連休で高速度道路の渋滞がしばしば放映されるが、一般道路の方が圧倒的に渋滞が多い。ブレーキと発信の繰り返しが格段に多いことも、CO2排出に貢献している。高速道路の利用が多くなり、CO2の排出量が増えるかどうかも良く解っていない。
それより何よりも、高速道路に料金所があることによる非効率の方が目につく。一般道路へのアクセスも極端に制限されている。利用度を下げる要因にもなっている。決してエコにならない商品への転換を奨励する、一時的消費喚起政策に比べるとよっぽど解り易く現実的である。