幼稚園のときの話。プール教室の帰り道。
「ボク困っちゃうんだ」
「なにが」
「プールで泳いでいるとき、お母さん、手ふるでしょ。それをみるとボク、うれしくなって顔が笑ってしまうんだ。そしたら、口に水がはいって苦しい…」
「ゴメン、ゴメン。だったら、今度から手ふらないね」
「ううん。振ってくれるとうれしいから、水から上がって待っているときに振っていいんだよ」
「わかった。じゃあ、これからそうするね」
「今日ね、コーチに褒められたよ。コーチが『○○クンに拍手って』っいったの。みんな拍手してたでしょ。あれはコーチがそういったから」
ガラスのこちらからは見えるだけで聞こえなかったけれど、息子にはいい1日だったらしい。
3人の子供全員が巣立って4年になろうとしている。
「子育てしていた頃の感覚、結構忘れちゃったよ」と、夫がポツリ。
ううん、母親は忘れない。きっとずっと忘れない。
去年の梅の季節。
友人と梅林を散策しながら、お互い巣立っていった子のことを語り、「母親って、台所でお茶碗洗っていても、頭は子供のこと考えてるからね」と、笑いあった。
夫の母親もきっとこうして、自分が子育てをした日々を思い出しながら、今暮らしているのだと、実感としてわかる歳になった。
また梅の季節。
希望の学部に合格して、その最良の日の翌日に親子で出かけたあの枝垂れ梅の梅林も次の土日は見ごろかもしれない。
「ボク困っちゃうんだ」
「なにが」
「プールで泳いでいるとき、お母さん、手ふるでしょ。それをみるとボク、うれしくなって顔が笑ってしまうんだ。そしたら、口に水がはいって苦しい…」
「ゴメン、ゴメン。だったら、今度から手ふらないね」
「ううん。振ってくれるとうれしいから、水から上がって待っているときに振っていいんだよ」
「わかった。じゃあ、これからそうするね」
「今日ね、コーチに褒められたよ。コーチが『○○クンに拍手って』っいったの。みんな拍手してたでしょ。あれはコーチがそういったから」
ガラスのこちらからは見えるだけで聞こえなかったけれど、息子にはいい1日だったらしい。
3人の子供全員が巣立って4年になろうとしている。
「子育てしていた頃の感覚、結構忘れちゃったよ」と、夫がポツリ。
ううん、母親は忘れない。きっとずっと忘れない。
去年の梅の季節。
友人と梅林を散策しながら、お互い巣立っていった子のことを語り、「母親って、台所でお茶碗洗っていても、頭は子供のこと考えてるからね」と、笑いあった。
夫の母親もきっとこうして、自分が子育てをした日々を思い出しながら、今暮らしているのだと、実感としてわかる歳になった。
また梅の季節。
希望の学部に合格して、その最良の日の翌日に親子で出かけたあの枝垂れ梅の梅林も次の土日は見ごろかもしれない。