詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

外国人材?(だんだん頭に来るぞ!)

2020-09-20 09:09:15 | 自民党憲法改正草案を読む
外国人材?(だんだん頭に来るぞ!)
   自民党憲法改正草案を読む/番外397(情報の読み方)

 2020年09月20日の読売新聞(西部版・14版)の1面のトップ。

金融 外国人材増へ税軽減/政府・与党検討 法人税や相続税/「英語で手続き」対応

 見出しを読んで考え込んでしまった。何のことだろう。しばらく考えて、もしかするとこれは「金融機関」に限った対策のこと? と思った。それも地方にある銀行などのことではなく、東京にある金持ち相手の資産運用に関する「金融機関」のことだろうなあ。
 前文には、こう書いてあった。

 政府・与党は、日本の国際金融センターとしての地位向上に向け、外資系金融機関や海外の金融人材の受け入れ拡大につながる制度を検討する。法人税や相続税の負担軽減、事業の許認可手続きでの英語対応の強化などが柱となる。菅首相は金融の専門人材の受け入れ拡大に意欲を示しており、必要な環境整備を急ぐ。

 ネットでは【独自】のマークがついている。「特ダネ」か。でも、私のような年金生活者になんの関係があるのだろうか。どうしてこんなニュースが1面のトップなのか。
 外国人の金持ちが日本で金儲けをする。その法人税や相続税を軽減して、それで日本がどうかわる?

 資産運用会社が業績に連動して支払う役員報酬は、金額のぶれが大きいなどの理由で、日本では損金算入できないケースがある。その場合、課税対象の利益を減らせず、法人税の負担が大きくなる。

 こんなことは、企業が考えればいい問題ではないのか。どこだって「損金」が出る可能性を抱えているだろう。それを承知で「商売」というものがあるのではないのか。というようなことは、きっと、素人考えで、もっと複雑な構造なのだといわれそうだが。
 その素人の私が読んでいて、どうしてもわからないのが、見出しの最後の部分。

「英語で手続き」対応

 だいたい日本で金儲けをしようとやってくる外国人相手に、法人税や相続税の「英語で手続き対応」って、変じゃない? もし日本人が、外国で金儲けをしようと考えて外国へゆく。そのとき、その国のことばを覚えていくというのは「常識」なんじゃないだろうか。何を話しているかわからない国へ行って「金融」の仕事をする? そんなのは、だまされにゆくようなものじゃないか。
 それに「外国人」というのは「英語」だけを話すわけじゃないだろう。まあ、これも「国債金融人なら英語が常識」ということなのかもしれないけれど、素人の私には、あ、そうですか、としか言えないが。
 いちばん驚いたのは。
 見出しにはとっていないのだが、その「外国人支援」の「生活の利便性向上」という項目。まるで「隠しごと」のように書かれている。

海外で雇っていたヘルパーなどの在日資格取得の要件緩和

 何これ? 外国人が、外国で雇用していたヘルパー(どんなヘルパー?)をそのまま日本につれてこられるよう(日本で引き続き働けるよう)、資格取得を緩和するというのだけれど、そんなことまでする必要がある? どうしてもヘルパーが必要なら日本人を雇えばいいだろう。わざわざ外国からつれてくる必要はないだろう。というか、専用のヘルパーをつれてこられるように、ヘルパーの資格取得を緩和する、なんて、どう考えても奇妙。
 よほどの金持ちの「外国人人材」が「専用のヘルパーがいないと生活がスムーズに行かない(だから日本にゆきたくない)」と苦情を漏らしたりしたんだろうなあ。そうでもないかぎり、誰も思いつかないだろう。
 なんというか。
 政府が「外国人の金融のエキスパートが日本に来るようにしよう」と計画を考えた段階で、専用ヘルパーをつれてくること、その専用ヘルパーの在日資格取得の問題まで頭が回るというのは、よほど想像力がないとできない。いままで、こんな細部にまで想像力をはりめぐらせた「政策」があっただろうか。

 それにねえ。

 いま日本が抱える問題は、「金融人材」や「外国人が外国で雇っていたヘルパー」ではないだろう。
 日本では、いろんなことろで「人手不足」。「ヘルパー」でいえば、介護現場ではいつも人手不足。そして、そのために「英語圏ではない外国(ベトナム、フィリピン、タイ)」から「介護師」としての「人材」を受け入れるために、いろいろな対策をとっていないか。そして、その対策のひとつに、日本に長く滞在し働き続けるのを拒むために、一定の日本語能力を要求するというものがあるのではないか。一定期間に日本語のレベルが達しないなら、研修だけで母国へ追い返す。一定期間で日本の資格がとれないなら母国へ追い返す、という「使い捨て政策」をとっていないか。
 別の角度からも問題点が見えてくる。
 そうやって日本で働いてくれる東南アジアの人たちの、日本での暮らしはどうなっているか。家族をいっしょにつれてくるための条件は? その家族に子供がいるときの教育の問題は? 相続税ではなく、そのひとたちの社会保障はどうなっている?
 大事なのは、一握りの(ほかの職場で求められている人数に比べればはるかに少ないと思う)金融外国人ではなく、もっと低所得の外国人の待遇の問題だろう。相続税などは無関係の人たちだろう。

 記者が「私はこんな情報を手に入れた」と喜んで記事を書くのも、また、その誰から教えられた(リークされた)かわからない「特ダネ」を自慢するのも、それはそれで「正直さ」があふれていて笑いだしてしまうが、笑ったあとで悲しくなる。もっと日本の現実そのものをみてほしい。きっとこの記事をリークされた記者は、自分には記事をリークしてくれる「政府・与党」関係者がいるということが自慢だし、また、こういう記事を書くことでその人との「接触」をいっそう強めていくのだろうと思う。「おかげさまで、特ダネを1面のトップに掲載できました」と言う具合にね。「また、特ダネ書かせてくださいね」と言うわけだ。

 えっ、日本語もできないのに、日本で金融の仕事ができるんですか? えっ、外国で雇っていたヘルパーをそのまま日本につれてくることができるんですか? しかし、ヘルパー付きの暮らしってすごいなあ。そんなひとの税金の心配をどうしてしなければいけないのだろう。
 そんなふうに思わないとしたら、この特ダネを「リークされた」記者は、よほど一般の暮らしとはかけはなれた生活をしているね。
 ばかげた政策以上に、何の疑問も持たない記者の姿勢に、私は頭に来てしまった。
 「疑問」を持てよ。
 なぜ、一部の特定の人間だけが優遇されるのか。日々の暮らしで一生懸命の人が、なぜ、報われないのか。










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「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



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