細い階段のぼったところにある
細い階段を上ったところにあるコーヒー店で、
ことばはきのうの詩のつづきになろうとする。
壁の棚には小さな白いカップがすっかり整頓されている。
その輪郭の反射が見えるだけの、つらくなるような薄暗さ。
ふたりは目をあわせないようにしながら視線の端で相手を確認していた。
テーブルの上ではコーヒーが冷えてざらざらした味にかわる。
--出ようか。
聞こえないふりをすると、
--出ようかと言ったのが聞こえないのか、聞きたくないのか。
--いいよ、ここに用はない。
(この男はけしからん奴だという思いが
ひとこと聞くごとに確信にかわってゆく。)
ということばを、どちらの男の胸のなかに走らせればいいのか。
ことばは迷いながら細い階段へのドアを描写する、その詩。
*
「谷川俊太郎の『こころ』を読む」はアマゾンでは入手しにくい状態が続いています。
購読ご希望の方は、谷内修三(panchan@mars.dti.ne.jp)へお申し込みください。1800円(税抜、送料無料)で販売します。
ご要望があれば、署名(宛名含む)もします。
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。
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ことばはきのうの詩のつづきになろうとする。
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ふたりは目をあわせないようにしながら視線の端で相手を確認していた。
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--出ようか。
聞こえないふりをすると、
--出ようかと言ったのが聞こえないのか、聞きたくないのか。
--いいよ、ここに用はない。
(この男はけしからん奴だという思いが
ひとこと聞くごとに確信にかわってゆく。)
ということばを、どちらの男の胸のなかに走らせればいいのか。
ことばは迷いながら細い階段へのドアを描写する、その詩。
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谷川俊太郎の『こころ』を読む | |
クリエーター情報なし | |
思潮社 |
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リッツォス詩選集――附:谷内修三「中井久夫の訳詩を読む」 | |
ヤニス・リッツォス | |
作品社 |
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2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。