詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

「詭弁」にさえなっていない「駄弁」。

2020-12-28 08:05:03 | 自民党憲法改正草案を読む
jiji.comが「自民党の二階幹事長、大人数会食批判に反論」という見出しで記事を配信している。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122700276&g=pol&fbclid=IwAR0aG--d9GL4noT9Yt9BpINYj1rmZbGapkfJ13kYagWzlvh_GAGjeZ1607U

「会食を目的にやっていない。意見交換を考えてやっている。全く無駄なことをしているわけではない」

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意見交換が主目的なら、会議室を借りてやればいい。
食事の提供が必要なら、個別に「テイクアウト形式」で料理を配り、各自が個別に食べるということもできる。
多くの人が批判しているのは「無駄なことをしている」ではなく、政府が「多人数での会食自粛」を打ち出しておいて、みずからそれを破っていること。指針と行動との矛盾を批判している。
さらに、意見交換を「考えて」やっている、とはどういうことなのか。「考えて」いれば、意見交換をしなくてもいいのか。いったい、どんな「意見交換」をしたのか。「〇〇〇について意見交換した。〇〇〇という意見が出た」という具体的なことを言わない限り(言えない限り)、「意見交換」したとは言えない。
二階の表現を借りれば、国民がこういうこともできる。
「意見交換を考えて100人が集まり、飲食もした。飲食が目的ではなく、意見交換が目的だったから、みんなが大声で話し合った。要約ができないくらい多様な意見が飛び交い、予定の1時間では足りずに徹夜で激論を展開した。活気に満ちた意見交換会だった。1年を振り返り、新しい年を迎えるたその貴重な意見交歓会だった。」
そういう「論理」で、いいのか。
「論理」さえ、整合性がとれていればいいのか。
「論理」はことばだげで成り立っているのではなく、「事実」と「ことば」の関係を証明しないといけない。
二階はいったい「意見交換会」で出席者から、具体的にどういう「貴重な意見」を聞いたのか、それを政策にどう反映していくのか。それをきちんと説明しない限りは、「無駄な会食会」を通り越し、「危険な会食会」になる。
政府が多人数での会食を自粛するように求めたのは、それが「無駄」ではなく「危険」だからだ。
「危険」を上回る「貴重な意見」が交換されなかったなら、それはそれこそ完全に「無駄」になる。「危険+無駄」が二階のやった会食会である。
ジャーナリズムは単にだれそれがどういうことをした、どう言ったかを伝えるだけではなく、その行動、言論の「意味」を正確に分析し、言語化する責任をになうべきである。

*

こういうニュースもある。産経新聞である。
「安倍首相、二階幹事長や王貞治氏らと会食」
https://www.sankei.com/.../news/200722/plt2007220039-n1.html

安倍晋三首相は22日夜、東京・銀座のステーキ店で、自民党の二階俊博幹事長やプロ野球ソフトバンクホークス球団会長の王貞治氏らと会食した。少年野球の振興事業などを通じて王氏と親交の深い二階氏が呼び掛けた。王氏は東京五輪・パラリンピック組織委員会の理事を務めており、来年夏に延期となった東京五輪などについて意見交換したとみられる。

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これは、二階の言う「意見交換」説を補強するためのものだろうが、安倍まで出席したのか、というのが私の驚き。
さらに。
すでに書いたが、gotoとオリンピックは密接に連携している。
gotoで旅館・ホテルを維持しないと、オリンピックを開いても観光客の宿泊先がないということがおきかねない。それを心配して、旅館・ホテルの維持に懸命なのである。
しかも、その維持のための予算をなるべく抑え込むための方法が、国民の旅行なのだ。旅行する国民は恩恵を受けるが、同時に旅館・ホテルを直接支援しないですむ国も恩恵(?)を受ける。
旅館・ホテルだけに「休業補助金」を出すと、他の中小企業から不公平だという声がおきるだろうからね。
しかし、gotoそのものだって、不公平なのだ。
利用することができる国民も富裕層にかぎられている。

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