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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- 第10話 『その身を捧ぐ』

2013-12-13 00:10:48 | アルペジオ
いやー、まさか、こんな超!神!展開が待っていようとは!
タカオ、マジで決断力ありすぎだろう!
というか、それほど群像への「愛」が深かったということなのだが。

タカオが「その身を捧ぐ」ことで、401が復活する場面は、マジでゾクゾクした。
鳥肌が立った。

また、あの場面が、海底、というのがいいよね。
群像とコアになったイオナが横たわるカプセルのほかは、タカオしかいない静謐な世界。
その群像のもとに、泳いで近づいていくタカオがね。
どう見ても、群像の生命維持カプセルが棺にしか見えない。
その棺に寄り添うタカオ・・・

いやー、まいった、これは、ホント、名場面だよ!

このシーンのためだけに401が沈められたのだろうな。
ここのところ、海中描写が少なかったことも効いている。

というか、いままで、こんなふうに「海」を描いてなかったよね。
その分、この、彼らしか存在しない海底という場所が効いている。

で、その生命維持カプセルをどう引き上げるのではなく、
自らの船体のナノマテリアルを捧げて、401の船体を修復、というか、再構成するのだもの。参りました。
これは、この世界の設定があればこそ可能なドラマで。

タカオの解体されたナノマテリアルが輝く奔流となって海底に届き、あたりを照らしながらカプセルに身を寄せるタカオに降り注ぐ場面は、不覚にも、マジで美しいと思ったものね。
いやー、参った。

あれ、復活した401は船体には、タカオの戦艦としての面影?も残っているんだよね。
艦橋があったように見えたし。

それにしても、まさか、ここまで化けるとは。
なんていうか、今期のナンバーワンをもっていったんじゃないかな、これ。
それくらい、今回の話は、深いし、凄いよ。

前回の「動」に対して、今回は全編にわたって「静」だったわけだけど、にも関わらず、いや、むしろ、だからこそ、前回よりもドラマがあった。

群像、イオナ、タカオ、の、各人各様の「自己犠牲」の形。
その背後で生じたコンゴウの「執着」という「感情の創発」。
それを促した、まさかのマヤの「操り人形」という正体。

てかさー、これ、結局のところ、完全に「人間(らしさ)って何よ―???」ということだよね。

前回の感想で、この作品は、人類と「霧という存在」の「ファーストコンタクト」の物語だ、と言ったけど、まさか、その翌週に、「人間とは何か」、「人間と人形/機械との違いは何か」、なんて主題が持ち込まれるとは思わなかったよ。

いやー、ホント、面白いよ、この作品は。

構造的には、一見すると、群像のハーレム設定にもみえるわけだけど、それをうまく撒き餌にして、その背後で、人と人との関わりとはいかなるものか?、という主題をガチで持ち込んでしまうのだから。

そもそも群像はこの世界を救いたい、座して死を待つようなことはしたくない、だから、行動したい、という、ある意味で彼のいる世界では、真っ当な志から、彼が引き受けたミッションの引き継ぎこそをイオナに求めるわけだけど、そのミッションを担うのは自分ではなく群像であり、だからこそ最優先すべきは群像の存命であると判断したイオナ。このイオナの判断は、彼女が群像を愛しているから、というような明確な表現にまでは、この段階では行き着かない行動。

でも、その自己犠牲の行動を「愛」というコトバでくるむ役割を担ったのがタカオだった。タカオの、自身の身体=ナノマテリアルをイオナに譲渡し、結果として、群像の思いを遂げさせることにタカオ自身も貢献する、という形をとった。

この、群像、イオナ、タカオ、の三段ロケットはホントに凄いよ。

これは、今後のタカオの登場の仕方にもよるけれど、もしもタカオ―イオナの船体/身体融合の結果、401艦内にもタカオのゴーストのようなものが残るのであれば、ある意味、タカオはイオナと身体的に同化することで、まさにタカオのもつ「愛」成分wまでイオナに譲渡することになる。

この点は、ヒュウガが、イオナのサブプロセッサーとして生きる、と宣言していたことに対する一種のあてつけにもなって、その分、ヒュウガとタカオの関係も複雑なものとなりそうだしw

というか、タカオ、自分には(群像とイオナの間に)入り込む隙なんかない、なんて言ったけど、これで大逆転だよね。むしろ、身を差し出すことで、強引に二人の間に割り込んだようですらある。なんたって、新生401のボディはもともとタカオなんだから。もうこれで、タカオも群像とともに旅をする、ということになったのだから。いやー、押しかけ女房作戦、大成功じゃなイカ!

それに、さすがにメンタルモデルのコアだけは残るだろうから、仮にナノマテリアルが不足だとしても、キリシマのように、何らかの物理的依り代を得れば、タカオもメンタルモデルを再現することができるのかもしれない。だとすれば、この際ロリ化して、蒔絵とは違う意味で、場を盛り上げる存在になるのかもしれない。

ともあれ、キリシマにせよ、タカオにせよ、コアが無事なら、あとはナノマテリアルの供給のみなのだろうから、極論すれば、もう完全に悪役が決まったw400や402を撃沈した後、彼らの船体の一部を奪う、というのでもいいと思うけどね。

もっとも、そうやってタカオとキリシマが完全復活するのは、物語的にはもはや蛇足でしかないのかもねw

あとは、こうした状況の一部始終見ていた、記録好きのハルナが、どういうふうに影響をうけるかだよね。彼女の立ち位置は、一種の「記録屋=歴史家」のようなものだから、彼女によって、人類との接触によって霧がいかに変貌しうるか、ということが一般化されていくのかもしれない。

・・・で、最後のコンゴウ。

いやー、愛憎は裏返し、とはよく言うけれど、コンゴウが前回示した「嫌い」という判断=感情までも、人間的な「執着」の現れと解釈されたのは、コンゴウからすれば、もの凄く不幸なことなのだろうな。

そういう意味では、コンゴウ艦隊?に、イオナが接触することで、玉突きよろしく、みな、何らかの影響をうけてしまったわけで。その影響の元凶を群像という人間の個体に絞ってしまったところが、コンゴウの脳筋なところだったんだろうな。既に、メンタルモデル間で多様な心情のやりとりを行ってしまっていたわけだから。

だから、コンゴウは、もの凄く不幸なわけだけど。

それにしても、ここに来て、この作品がフルCGで作られていることがこれほどまでに意味を持つとは思わなかった。ちょっと絵的に「違和感」があることが、むしろ、メンタルモデルの間で、人間的か人形的か、の違いを分けることに繋がろうとは。

だから、後半、この物語は完全にメンタルモデルがやりとりする物語になったってことだよね。401クルーが背景になってしまうのもよくわかる。

そして、フルCGでできたキャラが、完全に人間となる瞬間が、タカオやイオナが示したように涙を流すところだったんだろうな。泣ける、というのが人間の示す反応の最たるもの、ってことで。

そうそう、よく見ると、イオナが涙を流すシーンは、実はタカオによって401が再生されて海上に浮上してきてからのことなんだよね。その前の、群像がもう死ぬかも、という時のイオナは、むしろ自分の感情をどう表現していいか、終始戸惑っていたわけで。となると、この、イオナの涙は、やっぱり再生を通じて、タカオの「乙女プラグイン」が新たに実装されたからなのかな―、とか思えてきて。明らかに表情が、それ以前と違うから。

もっとも、となると、タカオがホントに401+イオナと「融合」してしまった、ともとれるわけで。。。これは解釈にこまるところ。

それにしても面白いのは、イオナの目の間がちょっと離れていて・・・、結果的にちょっとキモい、みたいなCGによる絵面も、むしろ、メンタルモデルの彼らが、人間とは違う存在であることを示すためにちょうどよかったとも思えるところ。

だから、逆に、マヤが壊れた、というか、マヤが操り人形であったことも、むしろ、それが本来の姿、とでも言うべきもので。いわゆる「不気味の谷」が微妙に、メンタルモデルによってズレルの面白い。

そういうことで、フルCGは、メンタルモデルの物語を作るための環境としても必要だったってことだよね。そういう、自己批評的なメタ構造も持ち合わせているとは思わなかった。

いやー、これは、マジで脱帽!
こんなに、楽しむポイントが多層化されているとは思わなかったよ。
マジ、傑作だね!

それにしても、これ、最後、どうなるのかな。
まだ2話、あるわけだけど。

コンゴウをどうするか、というのは大きな問題だけど、それはもう、「機械ないしAIがどうやって人間としての意識を得るのか?」という話になってしまって、ちょっと思弁的過ぎるよね、この物語の結末としては。

むしろ、今回の、タカオの振る舞いをどう401に残ったものたちが解釈し行動するのか、というところに焦点を置くのかな―。

もちろん、タカオの復活問題については、何らかの形で言及されるのだろうけど。

しかし、まさに、死ぬ=自己犠牲することで、姿は消えても、群像の「心のなかで生き続ける」というのは、超乙女プラグインのなせる技だと思えるし。

何らかの形で、タカオが群像から「ありがとう」と言ってもらえるといいよね。

多分、そこで、群像たち人間は、あのメンタルモデルのお茶会空間にはいけない、という事実を改めて実感させられるのだろうし。

・・・ということで、いやー、10話、すごかったわ。
これ、もう、タカオは、今期のトップヒロイン、持っていったんじゃないかな。
デレだけじゃなく、ここまで突っ走ると、もうホント清々しい。
なので、最高の10話だった!
こんなに高揚したのは、最近だったら、まどマギの最終2話以来かな。

ホント、これだけハードル上げてしまって、一体最終話までどうするのか、ってのが逆にとても気になってしまうくらい。その意味でも、残り2話が超楽しみ!!!
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