わたくしの生まれは岡山県で45年ほど前に何の縁も所縁もない鹿児島に移住してきました。せっかく鹿児島に来たのだからと、少しばかり鹿児島の歴史を勉強しました。面白い歴史にたくさん出会いました。その中の一つに、江戸時代薩摩藩では浄土真宗がキリスト教と同じく禁教だったということでした。ところが現在は県民の80%ぐらいが浄土真宗ということのようです。身近な人に尋ねてもほとんどの人が浄土真宗という答えが返ってきます。ところが江戸時代禁教(明治8年まで・キリスト教は明治6年)だったということを知っている人はほとんどいないということに驚かされました。学校で習っていないようです。そこで県の教育委員会の社会科担当の方に尋ねてみました。返事は「教科書に記載がない」「指導要領に記載がない」「県からの指示がない」から教えない、ということでした。疑問に感じませんかと話しても何の反応もありませんでした。開いた口が塞がらない。もっとも官僚としては優等生の回答なんでしょうね。
わたくしの最近の最大の関心事は禁止だったのがなぜ現在圧倒的に浄土真宗なのか。
奄美では江戸時代、「やんちゅう」という奴隷身分の人が人口の20%を占めていました。しかしその存在を奄美出身の人に尋ねても知っている人は一人もいませんでした。名瀬市の教育委員会に問い合わせてみました。返事はその地域の独特の歴史を教えているのは北海道と沖縄県だけだという返事でした。ただし私の質問に応じてくれた方はそれを残念と思うという返事は返ってきました
江戸時代鹿児島本土では一件の百姓一揆もありませんでした。(未遂一件)県教育委員会の方はその事実の認識もあやふやでしたが、その理由については全くご存じないようでした。薩摩藩の農村支配が他の藩と異なっていたことに原因がありますよね。
その他、知るべき歴史的事実で知られていないことがたくさんあります。
今鹿児島人として(鹿児島弁は話せないが)このように郷土の歴史が忘却のかなた行ってしまっていることに悲しさと怒りを感じざるを得ません。何とかなりませんかね。
写真は浄土真宗の解禁に一定の役割をし、西郷に抗った田中直哉を紹介した本です。