「NPO(Non-profit Organaization)」非営利民間組織が今脚光を浴びている。使命を達成する為に組織される利益を上げることが目的ではない民間の企業のような組織と言うのが当たり障りのない解釈であろうか。
企業と言ったのは、利益を主目的とはしないが、組織として自活してゆく為には自分自身で経済的自立を果たさねばならないので無償ではなく、自己利益ではないそれなりの収益を追求する組織であるからである。
跡田直澄慶大教授が「利益が上がる!NPOの経済学」と言う本を出した。
NPOの初歩から説き起こした概説本で、理念らしきものが先行していて、「日本が本当に豊かで成熟した社会を迎えることが出来るかどうかは、ひとえに日本のNPO業界が活性化するか否かにかかっている」とまで仰る。
公益に帰する使命感(ミッション)がNPOの原点であり、NPO業界が持つ限りない潜在力が、日本の将来を建設的なものにする可能性を秘めていると言うのである。
まず、手始めとして、NPOは、ボランティアで無償だと言うのは誤解で、ミッション遂行のためには、給料など少し下げる程度でも良く、事業として儲けるのは当然だと説き始める。
目的どおりに公益の為に活発に活動しているNPOもあれば、現に、営利企業の営業窓口のような組織でありながら、非営利民間団体のレッテルがある為に公的機関のサポートを得ているようなNPOもあるなど色々である。
跡田教授の論点は、公益性と「民間企業と比較して、NPOは利益が目的ではない為にコストが低いので、同一マーケットでの競争では、NPOの方が価格競争では有利となる。」と言う視点に依拠している。
この競争に打ち勝つ為に民間の私企業は更に努力するので、競争が激化して消費者にとって有利となり、民間マーケットの活性化につながり国内需要が喚起される。
一方、NPOの活躍により公益事業が民に移行するので、政府予算がスリム化して膨大な累積赤字が縮小する。
企業間競争に打ち勝つNPOが数多く出現すれば、プロジェクト・ファイナンスやSRIが活発化し、NPO業界に膨大な資金が流れ込み、金融業界や産業界、即ち経済界全体のモラル向上に繋がり、日本に健全なマーケットが育つ。
跡田教授は、こんな議論を展開しているが、理想形として聞く分には望ましいし、願ってもない経済社会の発展方向だと思われる。
しかし、非営利組織と言っても所詮は営利団体であり、そのマネジメントが如何に難しいか、上手く行くかどうかは未知数である。
NPO活動については、「3分の1ルール」、即ち、「自前の稼ぎ(営業収入)」、「補助金・助成金」、「寄付」と言う3要素が、組織の維持と拡充の為に必須であり、後の2項目からの資金が潤沢であればあるほど運営が楽になり、コスト競争力が増す。
しかし、その運営なり経営が上手く行くかどうかは、目的がいくら至高であっても、多くの諸条件をクリアせねばならず、そのマネジメント如何にかかっていると言っても間違いではない。
国家財政の困窮によって、政府は「民間で出来ることは民間で」と歌い上げて民活を勧めているが、公共ニーズの肩代わりをNPOに託すのであれば、税制優遇制度を導入するなどもっと積極的にNPO活動をバックアップする施策を打つべきである。
個人の篤志家などの寄付には免税措置はないし、NPOの営業利益に税金をかけるようなことをしているようでは何時まで経ってもNPOなどまともに育たないし、まして、跡田教授の理想など実現する筈がない。
もう何十年も前になるが、某メーカーとジョイント・ヴェンチャーでゴルフ場を経営していた時、そのメーカーは、60歳以上の社員を臨時社員にして、年金支給額を減額されない程度に給料を支払い、賞与を調整しながら給与を払って使っていた。言うならば、取り分は同じなので政府に年金支給と言う形で給与を一部肩代わりさせて従業員を働かせていたと言うことである。
何故こんなことを言うかと言うと、2007年は、団塊の世代が一挙に年金生活に入って労働市場から退出する年の元年であり、ボランティアでも何でも働き甲斐を求めて労働市場に出たい豊かな人々が沢山生まれて、正に、NPO人材予備軍が輩出し、NPOにとって又とないチャンスなのである。
もっとも、条件が揃ってもNPOが上手く行くか行かないかは、多くの難しい別の要件を満足させなければならない、とにかく、NPOは大変なのだが、展開次第では、社会を大きく変える起爆剤であることには間違いない。
(追記)椿は、式部。
企業と言ったのは、利益を主目的とはしないが、組織として自活してゆく為には自分自身で経済的自立を果たさねばならないので無償ではなく、自己利益ではないそれなりの収益を追求する組織であるからである。
跡田直澄慶大教授が「利益が上がる!NPOの経済学」と言う本を出した。
NPOの初歩から説き起こした概説本で、理念らしきものが先行していて、「日本が本当に豊かで成熟した社会を迎えることが出来るかどうかは、ひとえに日本のNPO業界が活性化するか否かにかかっている」とまで仰る。
公益に帰する使命感(ミッション)がNPOの原点であり、NPO業界が持つ限りない潜在力が、日本の将来を建設的なものにする可能性を秘めていると言うのである。
まず、手始めとして、NPOは、ボランティアで無償だと言うのは誤解で、ミッション遂行のためには、給料など少し下げる程度でも良く、事業として儲けるのは当然だと説き始める。
目的どおりに公益の為に活発に活動しているNPOもあれば、現に、営利企業の営業窓口のような組織でありながら、非営利民間団体のレッテルがある為に公的機関のサポートを得ているようなNPOもあるなど色々である。
跡田教授の論点は、公益性と「民間企業と比較して、NPOは利益が目的ではない為にコストが低いので、同一マーケットでの競争では、NPOの方が価格競争では有利となる。」と言う視点に依拠している。
この競争に打ち勝つ為に民間の私企業は更に努力するので、競争が激化して消費者にとって有利となり、民間マーケットの活性化につながり国内需要が喚起される。
一方、NPOの活躍により公益事業が民に移行するので、政府予算がスリム化して膨大な累積赤字が縮小する。
企業間競争に打ち勝つNPOが数多く出現すれば、プロジェクト・ファイナンスやSRIが活発化し、NPO業界に膨大な資金が流れ込み、金融業界や産業界、即ち経済界全体のモラル向上に繋がり、日本に健全なマーケットが育つ。
跡田教授は、こんな議論を展開しているが、理想形として聞く分には望ましいし、願ってもない経済社会の発展方向だと思われる。
しかし、非営利組織と言っても所詮は営利団体であり、そのマネジメントが如何に難しいか、上手く行くかどうかは未知数である。
NPO活動については、「3分の1ルール」、即ち、「自前の稼ぎ(営業収入)」、「補助金・助成金」、「寄付」と言う3要素が、組織の維持と拡充の為に必須であり、後の2項目からの資金が潤沢であればあるほど運営が楽になり、コスト競争力が増す。
しかし、その運営なり経営が上手く行くかどうかは、目的がいくら至高であっても、多くの諸条件をクリアせねばならず、そのマネジメント如何にかかっていると言っても間違いではない。
国家財政の困窮によって、政府は「民間で出来ることは民間で」と歌い上げて民活を勧めているが、公共ニーズの肩代わりをNPOに託すのであれば、税制優遇制度を導入するなどもっと積極的にNPO活動をバックアップする施策を打つべきである。
個人の篤志家などの寄付には免税措置はないし、NPOの営業利益に税金をかけるようなことをしているようでは何時まで経ってもNPOなどまともに育たないし、まして、跡田教授の理想など実現する筈がない。
もう何十年も前になるが、某メーカーとジョイント・ヴェンチャーでゴルフ場を経営していた時、そのメーカーは、60歳以上の社員を臨時社員にして、年金支給額を減額されない程度に給料を支払い、賞与を調整しながら給与を払って使っていた。言うならば、取り分は同じなので政府に年金支給と言う形で給与を一部肩代わりさせて従業員を働かせていたと言うことである。
何故こんなことを言うかと言うと、2007年は、団塊の世代が一挙に年金生活に入って労働市場から退出する年の元年であり、ボランティアでも何でも働き甲斐を求めて労働市場に出たい豊かな人々が沢山生まれて、正に、NPO人材予備軍が輩出し、NPOにとって又とないチャンスなのである。
もっとも、条件が揃ってもNPOが上手く行くか行かないかは、多くの難しい別の要件を満足させなければならない、とにかく、NPOは大変なのだが、展開次第では、社会を大きく変える起爆剤であることには間違いない。
(追記)椿は、式部。