熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

民主党の子供手当に思う

2009年10月01日 | 政治・経済・社会
   民主党の政策の目玉は、何と言っても生まれた時から中学校卒業まで月額2.6万円が支給される子供手当で、各界に色々な話題を提供している。
   竹中教授などは、3人子供が居れば、総額1400万円以上になり、故郷和歌山なら、家一軒政府から無償供与されるようなものだと由々しき発言をしている。
   これこそ、竹中教授が、サプライサイド経済学者の所以であるのだが、厚生経済学的な一種の所得移転だとしても、あまり巨額な子供手当ては、フェアな競争重視の健全な経済をスキューさせると言うことであろうか。

   日本の先進国病の最たる問題は、少子高齢化であり、この課題解決への民主党のキー政策であるが、経済効果ばかりが強調されて、その支出が内需拡大に貢献するのかどうかが問われている。
   義務教育が無料であることは、憲法で保障されているので、この子供手当ては、それ以外の教育関係費用に対する家計への教育補助金と言う名目だが、どのような経路を経て支出されるのか、非常に予測が難しい。
   日本が、実際に年収200万円以下の労働者が1000万人を超えるような先進国中最悪の貧困国家になってしまった以上、生活補助金として使われる可能性が高いであろうし、また、不足していた教育費の工面のために勤めに出ていた主婦が職を離れるので婦人労働人口が減る可能性があるであろうし、あるいは、豊かな家計は、子供により高度な教育チャンスを与えようとするので益々教育格差が拡大する懸念があるなど、考えれば切がない。

   しかし、この子供手当は、子供は、日本人総てに取って、極めて貴重な共有財産であると言う基本認識の上に成り立っている。
   その子供の健全な育成のために、政府が、資金を振り向けて積極的に経済的に子育て支援をしようと言うことなのであるから、元より、子供の居る家庭への補助金支給だと言ったような短絡的な考え方を絶対にしてはならない。
   子供を立派に育てると言うことが、どれほど、大切で大変なことであるかは、親になってみれば良く分かるが、日本人全体が、一緒になって、良き次代を担うグッドシティズンを育てると言う意気込みが大切なのである。

   私たちが子供の頃には、少なくとも、私が育った宝塚の田舎のことだが、大人たちは、どこの子供であろうと、自分の子供と同じように、分け隔てなく可愛がってくれたし、悪いことをすれば、血相を変えてでも叱ってくれたし、私たち子供も自分たちの親と全く同じような気持ちで接していた。
   貧しかったが、幸せな時代であった。
   私は、この民主党の子供手当ては、このような公序良俗が息づいていた良き日本を再現するためにも大切に受け止めるべきだと思っている。

   ところで、もう20年近く前になるが、ロンドンに居た頃、私の次女が、イギリス政府から児童手当(CHILD BENEFIT)を貰っていた。
   知らなかったので、申請したのはずっと後になってからで、金額は良く覚えていないが、4~5千円くらいだったと思うが、毎月、指定口座に振り込まれていた。
   この程度の金額だと効果があるのかないのか分からないが、福祉国家的な政策が進んでいるヨーロッパの国々では、児童手当などの制度は普通に実施されているのではないかと思う。

   この口絵写真は、鎌倉の御成小学校の孫の運動会で撮ったもので、この可愛い子供たちの姿を見れば、子供たちが、日本人総ての大切な財産であり、大切に育まなければならないことが、痛いほど分かると思っている。
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