熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

オリンピック2016・・・リオ・デ・ジャネイロ

2009年10月03日 | 海外生活と旅
   2016年のオリンピックは、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催されることに決まった。
   ルーラ大統領が、世界10大経済大国の中で、オリンピックを開催したことのないのはブラジルだけだと訴えたエモーショナルなアピールが成功して、南米大陸で始めてのオリンピックが実現することになったと言う。
   
   私にとって、このオリンピック委員会の選択が、興味深いのは、BRIC’sの一角である世界屈指の成長新興国のブラジルだと言うことだけではなく、アメリカからの留学帰りの荷物を解く暇もなく赴任して、1974年から1978年までの丸4年間、実際にブラジルのサンパウロで生活したので、ブラジルでの思い出が、走馬灯のように駆け巡っているからである。
   真っ先に見たブラジルは、飛行機の窓から遠望した延々と広がるアマゾンの熱帯雨林と白く光るアマゾン川であったが、その後、着陸後に見たコルコバードの巨大なキリスト像とこんもりと帽子のように盛り上がった岩山ポン・デ・アスーカに象徴されるエキゾチックなリオ・デ・ジャネイロの印象が、今でも鮮明に残っている。

   赴任を終えてブラジルを離れる前に、コパカバーナの海岸に面したホテルで2~3日過ごして、リオの思い出を心の中に焼き付けたのだが、4年間に、サンパウロからは、飛行機だったり、高速道路だったり、とにかく、仕事や休暇で、リオには、頻繁に行き来していたので、リオの思い出も沢山あって涙が出るほど懐かしい。

   リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル人は、Rをヒと発音するので、ヒオ)は、1月の川。
   ポルトガル人が、初めて1月にリオに到着した時に、湾を川と間違えて、この名前を付けたと言う。
   やはり、何を差し置いても直行するのは、ホテルのあるコパカバーナの海岸であろうか。その海岸を奥に回ると、一寸高級イメージで多少俗化を免れているイパネマ海岸があるののだが、
   この海岸線に沿って高級ホテルや高級アパートが林立していて、その豪華さと美しさは昔も壮観であった。
   
   ところが、今日のTVでも写されていたのだが、その背後の山の高台には、ファベイラと称される貧民屈が犇いていて、映画「黒いオルフェ」の頃からも、私の居た30年以上も前の風景とも、全く変わっていないのに驚かざるを得ない。
   開発の進んだ海岸線に総てのインフラが整っていて、リオの高級街は総て海岸に面した平地に広がっているのだが、貧しい人々は、インフラのない未開発の山の手に無法居住してスプロール化し、上へ上へとファベイラが広がって行く。
   今回問題になった治安もインフラも、この高級街とファベイラの隣接(?)同居に疑問符が打たれたのであろう。
   リオのカーニバルで有名だが、カソリックの謝肉祭のカルナバル(Carnaval)には、エスコーラ・デ・サンバ・グループの踊り子や楽団員たちが、この山の手のファベイラから、沢山の黒いオルフェの子孫たちがリオの街に繰り出して、何日も踊り明かすのである。
   今はどうか知らないが、私の居た頃には、カーニバル・ベイビィが沢山生まれると言う実に大らかな時代であった。

   ブラジルの永住ビザを持っていたので、更新の為、10年くらいの間は、ブラジルを往復していたが、この20年くらいは行っていないので、最近のブラジルの状況は分からないが、ブラジル・ブームの終焉と経済悪化の影響を受けて、日系企業や日本人が大挙してブラジルを離れたり、また、日系ブラジル人自体の経済力や影響力が落ちて、日本イメージが弱くなっていると聞いている。
   このブログでも書いたが、日本人も政財界も、BRIC’sの中で、近い所為か、中国やインド、それに、ロシアへの経済的政治的アプローチには非常に熱心であるにも拘わらず、ブラジルには極めて関心が薄くて冷淡だが、ブラジルには、100万人を越す優秀な同胞と言う貴重な財産があり、日本国にとって最も協力し甲斐があり、実りあるコラボレーションが出来る国だと信じているので、何時も残念に思っており、このチャンスに、意欲のある中小企業とビジネス・チャンスを開拓できたらと考えたりしている。

   ところで、ブラジルは、ポルトガル人の国だと思っている日本人が多いが、これは誤解で、南部のアルゼンチンに近い方には、ドイツやイタリアなど色々なヨーロッパの国からの子孫も多く、わが同胞などのアジア人も加えて、どこの国の言葉の通訳でも探せると言うくらい人種の坩堝で、それに、原住民のインディオや黒人たちとの混血が進んでいて、その国際性は、アメリカを遥かに凌駕しており、これだけ、異文化と異文明を糾合したバリエーションと可能性に富んだ国は皆無である。
   熱帯から温順な日本のような気候の地方まで、日本の23倍もある豊かな国だが、これまで、何度も未来の国、未来大国と言われて期待し続けられて来たのだが、今度こそ、世界が、オリンピック2016で、ブラジルに本当のチャンスを与えた。
   唯でさえ情熱的で激しいブラジル人が、意気に燃えて、今度こそと沸きかえっている。

   久しぶりのブラジルの快挙に触発されて、オリンピックと関係ない駄文を書いてしまった。
   ブラジルおめでとう。
   リオ・デ・ジャネイロ・オリンピック2016の成功を、心から祈りたい。

   ところで、一生懸命に頑張った東京の落選は、実に悲しいが、世界中に東京の素晴らしさ、未来イメージをアピールした功績は大きい。
   150億円を使ってと揶揄する世論が喧しいが、後ろを振り向くことはない。残念は残念、明日を目指して、次の手を打てば良い。
   オリンピックの夢を見ながら明日の東京を必死になって追求して来たのであるから、グリーン東京イメージを含めて、東京の目指すべき未来イメージが益々クリアになったのではないかと思うし、これこそ本当の財産であろう。

   
コメント
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