アメリカは、ブラジルと同様に、完全に移民によって建国され移民によって発展してきた国である。
世界に冠たる超大国でありながら、いまだに、成長志向の活力ある若さを保っているのは、やはり、世界に門戸を開いた国であるからであろう。
ところで、昨日引用したエイミー・チェアの「最強国の条件」の「アメリカ」の章では、アメリカの発展と移民や移民政策の展開について語っていて非常に面白い。
まず、興味を感じたのは、建国当時のアメリカでは、独立を遂げたものの、深刻な人材不足で、アメリカ対ヨーロッパの熟練労働者の争奪戦が熾烈を極めたと言うことである。
アメリカ側は、優れた技術を持ったヨーロッパ人を呼び寄せるために、出来ることは何でもやったし、ヨーロッパの政府は、自国の労働者が新生アメリカへの移住を防ぐために、大変な努力をしたと言うのである。
ヨーロッパでは、自国労働者の外国企業による採用を制限する厳しい法律が施行されたり職人のアメリカ移住を禁止する法律が次々制定されたり、
19世紀のイギリスでは、海外移住希望者は、「羊毛の紡織、鉄、鋼鉄、真鍮その他の金属の鋳造鍛造、時計などの機械細工職人ではない」と言う証明書を、教会教区の委員に署名して貰わない限り、どこの港からも乗船できず、違反すれば、国籍を奪われたり財産を没収されたり現行犯逮捕なら反逆罪にされかねなかったと言う。
しかし、アメリカ移民への魅力を増幅したのは、アメリカに移民した者たちから旧世界の友人知人たちに宛てた新世界での夢のある豊かな生活に関する情報であったから、「非合法移民」が後を絶たなかったと言うから面白い。
アメリカ産業革命の父と言われるサミュエル・スタイナーは、器具も技術的な図面も何一つ持って来ずに素手で渡米しながら、イギリスで馴染んだ設備を、記憶を基に再現し組み立てて、最新鋭の紡織技術を移植したのだが、このような多くのヨーロッパ移民によって、19世紀のアメリカ産業が爆発的に発展し、たとえ新来の移民でも、政治的、経済的手段によって社会の上層部まで上り詰めることが許されたと言う。
尤も、歴史上は、常に、新移民を歓迎と言う風潮ばかりではなく、民衆レベルで激しい外国人排斥やアメリカ生まれ優先主義などが台頭したり、紆余曲折があったが、今でも、外国移民に対しては、かなり寛大な国であることには間違いなかろう。
エイミー・チェアは、ベンチャー・キャピタルで名を成した「シリコン・バレーの父」ユージン・クライナーを引き合いに出して、このベンチャー資本主義が、過去の大帝国の”寛容戦略”が20世紀後半に復活したものだと説いている。
古代ローマや大モンゴル帝国同様に、アメリカは世界中から最先端の人材と知的財産を吸収して、動員することによって、世界覇権を実現したのだと言うのである。
出身地、人種、性別などに関係なく、多額の報酬が得られる可能性を夢見て、世界中から集まった若い科学者や発明家、実業家たちは、まさにアメリカで自分たちの着想を試し、次々と大輪の花を咲かせることになった。
ICT革命によるフラット化とグローバリゼーションによって世界が一体化させればされるほど、そのような寛容政策の極致とも言うべき場を提供できる地域こそ、世界の中心になると言うことであろうか。
エイミー・チェンの論点は、「多様な人種と宗教に対する寛容さが最強国への決定的に重要な要件」と言うことだが、日本は、宗教は兎も角としても、外国移民に対しては非常に閉鎖的な国であり、グローバルベースでのクリエイティブ・クラスの争奪戦には消極的であるので、少なくとも、シリコン・バレーのような産業クラスターは、生まれないであろうと思うと、一寸、先行きが暗くなる。
世界に冠たる超大国でありながら、いまだに、成長志向の活力ある若さを保っているのは、やはり、世界に門戸を開いた国であるからであろう。
ところで、昨日引用したエイミー・チェアの「最強国の条件」の「アメリカ」の章では、アメリカの発展と移民や移民政策の展開について語っていて非常に面白い。
まず、興味を感じたのは、建国当時のアメリカでは、独立を遂げたものの、深刻な人材不足で、アメリカ対ヨーロッパの熟練労働者の争奪戦が熾烈を極めたと言うことである。
アメリカ側は、優れた技術を持ったヨーロッパ人を呼び寄せるために、出来ることは何でもやったし、ヨーロッパの政府は、自国の労働者が新生アメリカへの移住を防ぐために、大変な努力をしたと言うのである。
ヨーロッパでは、自国労働者の外国企業による採用を制限する厳しい法律が施行されたり職人のアメリカ移住を禁止する法律が次々制定されたり、
19世紀のイギリスでは、海外移住希望者は、「羊毛の紡織、鉄、鋼鉄、真鍮その他の金属の鋳造鍛造、時計などの機械細工職人ではない」と言う証明書を、教会教区の委員に署名して貰わない限り、どこの港からも乗船できず、違反すれば、国籍を奪われたり財産を没収されたり現行犯逮捕なら反逆罪にされかねなかったと言う。
しかし、アメリカ移民への魅力を増幅したのは、アメリカに移民した者たちから旧世界の友人知人たちに宛てた新世界での夢のある豊かな生活に関する情報であったから、「非合法移民」が後を絶たなかったと言うから面白い。
アメリカ産業革命の父と言われるサミュエル・スタイナーは、器具も技術的な図面も何一つ持って来ずに素手で渡米しながら、イギリスで馴染んだ設備を、記憶を基に再現し組み立てて、最新鋭の紡織技術を移植したのだが、このような多くのヨーロッパ移民によって、19世紀のアメリカ産業が爆発的に発展し、たとえ新来の移民でも、政治的、経済的手段によって社会の上層部まで上り詰めることが許されたと言う。
尤も、歴史上は、常に、新移民を歓迎と言う風潮ばかりではなく、民衆レベルで激しい外国人排斥やアメリカ生まれ優先主義などが台頭したり、紆余曲折があったが、今でも、外国移民に対しては、かなり寛大な国であることには間違いなかろう。
エイミー・チェアは、ベンチャー・キャピタルで名を成した「シリコン・バレーの父」ユージン・クライナーを引き合いに出して、このベンチャー資本主義が、過去の大帝国の”寛容戦略”が20世紀後半に復活したものだと説いている。
古代ローマや大モンゴル帝国同様に、アメリカは世界中から最先端の人材と知的財産を吸収して、動員することによって、世界覇権を実現したのだと言うのである。
出身地、人種、性別などに関係なく、多額の報酬が得られる可能性を夢見て、世界中から集まった若い科学者や発明家、実業家たちは、まさにアメリカで自分たちの着想を試し、次々と大輪の花を咲かせることになった。
ICT革命によるフラット化とグローバリゼーションによって世界が一体化させればされるほど、そのような寛容政策の極致とも言うべき場を提供できる地域こそ、世界の中心になると言うことであろうか。
エイミー・チェンの論点は、「多様な人種と宗教に対する寛容さが最強国への決定的に重要な要件」と言うことだが、日本は、宗教は兎も角としても、外国移民に対しては非常に閉鎖的な国であり、グローバルベースでのクリエイティブ・クラスの争奪戦には消極的であるので、少なくとも、シリコン・バレーのような産業クラスターは、生まれないであろうと思うと、一寸、先行きが暗くなる。