熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

「実質GDP上方修正で消費増税に追い風」と言うけれど 

2013年09月09日 | 政治・経済・社会
   実質経済成長率が年率換算3.8%と比較的高い推移を確認したことで、消費増税への環境は一段と整いつつある。と毎日は報じているのだけれど、本当に、経済が、回復基調に乗ったのであろうか。
   浜田宏一内閣官房参与が、平成26年4月の8%、27年10月の10%への消費税率引き上げについて、「増税は経済に対し大きなショックを与える」と懸念を表明するなど慎重な姿勢を示して、成長率4%を2期くらい続けて安定してからの方が良いのではないかと言っていたが、私は、どちらかと言えば、この考え方の方が正論だと思っている。

   確かに、日本にとっては、財政再建は急務であって、法律通りに4月に増税しないと、国際的な信用に関わり、株価などの下落を招くであろう。
   しかし、20年以上も続いたデフレ不況の後遺症は極めて深く、これまでに、何度か、経済に明るさが見え始めたところで、金利を上げたり、税を操作して成長の芽を摘んで来たことを思えば、成長軌道に、はっきりと乗ったことを確認してから、消費税を上げないと、また、経済の失速を招きかねないと思っている。
   

   米国国家情報会議のGlobal Trends 2030を読んでいると、「危機を頻発する世界経済」の項で、「最も不安な国・日本」と名指しされている。
   2025年までに年金暮らしの高齢者1人を労働人口2人で支える社会が到来し、高齢者福祉に多くの国家予算を取られると、別の分野への予算の割り当てが当然ながら少なくなって、財政的に支えるのは簡単ではなく、日本が、長期的に経済成長を実現させる潜在力は極めて限定的だと言う。
   そのためには、IMFは、一時的な政治的混乱を招いたとしても、「財政上のバランスを長期的に保つ大規模な政策転換を実施すべきで、短期的に成長を犠牲にしないと、」膨らむ一方の負債を解決することは出来ないと見ていると言うのである。

   この見解については、前半の認識は同じにしても、最後の結論は、増税して財政再建を図れと言うことであるから、全く、私の考えとは違う。
   私自身は、幸いにも、不安定ながらも、経済が回復基調にあるのなら、このトレンドを持続して、一定の安定成長の軌道に乗ってから、財政再建を考えるべきだと言うことである。
   GDPの240%と言う異常な国家債務については、既に、日本経済崩壊への序章だと思うくらいに心配しているので、経済成長が実現できなければ、徳政令的な荒療治や異常な増税を実施するなど国民から収奪しない限り、解決策はないと思っている。
   しかし、少しでも、日本経済が成長軌道に乗るのなら、それを死守してでも持続すべきであって、財政赤字の最も有効な解決策は経済成長による税収増なのである。
   動き始めた日本経済にとって、千載一遇のチャンスとも言うべき虎の子の経済成長の胎動を、絶対に見殺しにしてはならないと思っている。

   東京オリンピックは、確かに朗報で、日本経済の浮揚効果は大きいと思うが、アベノミクスで浮かれ騒ぐほど、日本経済の足腰は、まだまだ、強くなっていないことも事実であり、ここは、じっくりと、日本経済の底入れを待ってから、動くべきであろう。
   GDPの70%近くは個人消費であって、国民生活が少しでも潤い始めて増加しなければ、経済成長は、一気に頓挫してしまう。
   その本丸を攻める消費税は、経済成長さえ軌道に乗れば、ついて来る筈である。
   
コメント
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