熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

初春の上海・江南紀行(2)太湖と淡水真珠

2017年01月16日 | 初春の上海・江南紀行
   最初に訪れたのは、無錫に入って、無錫市街の西の太湖に突き出た半島にある黿頭渚公園である。
   ここからの太湖を臨む山水風景が有名らしいが、市街地に隣接しており、広い森林公園と言う感じだが、今では、一部観覧車もあって、かなり、俗化している。
    
   
   
   
   
   

   琵琶湖の3.4倍の規模だと言うので、結構広いが、河川は揚子江に流れ込んでいると言う。
   この日は、曇天で、遠くの湖岸は霞んでいて、長い大橋越しに、無錫市街のマンション群や劇場が遠望できた。
   この湖周辺の丘陵は石灰岩を産出し、「太湖石」とよばれる穴の多い複雑な形の奇石が有名で、確か、鶴岡八幡宮の庭にもあったと思うのだが、蘇州はじめ中国各地の名園に置かれて、風景を荘厳している。
   しかし、この無錫の公園からは、期待していた中国の古い風景は、どこにも存在していなかったが、美人の中国人ガイドさんが、湖畔で、大ヒットしたと言う尾形大作の「無錫旅情」を情感豊かに歌ってくれた。

   前の旅では、西湖に行きたくて、杭州を訪れたのだが、この時は、湖岸の公園も中国風であったし、湖岸の高台にある西冷印社からは、古い中国の風景が遠望できて、漢詩の世界を感じて興味深かった。
   ここで買った中国画の掛け軸は、今も愛用している。
   
   

   この後、国営会社の淡水真珠店に行った。
   太湖の淡水真珠は、清時代慈禧太后が、この真珠で美容して、太湖真珠を愛用したと言うことで、この真珠店では、沢山の真珠の宝飾品とともに、真珠クリームなども売られている。
   
   

   ガイドと親しいと言うことで、店長が出てきて解説員を務めて、真珠の母貝であるカラス貝を切り開いて、養殖中の真珠を取り出して見せた。
   日本の真珠は、アコヤ貝に核を入れて養殖するので、一つの貝からは数個の真珠しか取り出せないが、この太湖の淡水真珠には、一挙に、30個以上の真珠が取り出されるので、ミキモトなどと比べれば、はるかに格安だと言う。
   カラス貝を開くと、小さなトウモロコシ状の小さな真珠の球が飛び散った。
   まず、店長が説明したのは、真珠クリームで、日本なら、1万円なら3個しか買えないが、ここでは、8個で1万円。
   ガイドに聞いていたので、時に、1万円で10個まで出すと言うので、9個と言った後で、「所長!」と声をかけて持ち上げたら、10個になり、皆、買っていた。
   やはり、中国の化粧品と言うことで、妻は財布を開かなかった。
   
   
   
   

   さて、広い販売フロアーは賑わっていたが、折角なので、BIPルームと言う隅の小部屋に入った。
   ミキモトのような豪華さもなければ華やかさもないのだが、他よりは、高価な真珠をディスプレィしていることは確かである。
   
   
   

   一番上等なのは、チョコレート色の真珠で、次は、ゴールド色だと言う。
   一粒のネックレスだが、チョコレート色は、値札が、45万円。ゴールドは、店長が電卓で、12万8千円を示した。
   鶏頭を掲げて狗肉を売ると言う故事のある中国だが、日本に留学して駐在していたと言う日本語流暢な店長であり、唯一の国営を冠した会社であるから、嘘はないだろう、相手に不足はないと思って、久しぶりに、ビジネス感覚を呼び起こして、タフネゴーシエーションに取り掛かった。

   昔、アラビアのマーケットで、絨毯を買うのに、激しく渡り合って、それなら止めると言って帰りかけたら、店のオヤジが追っかけてきて、「旦那、旦那、待ってくれ! アンタは特別だから負ける」と言って来たのでまずまずと思って買った、あの手法である。
   何を買ったか、どこまで値切ったかは、伏せるとして、とにかく、ミキモトでは何倍もすると言うことだし、少し値は張ったが、安物を買うよりは良いと思った。
   これでも、中国では値切って買わないとだめだと言うことを知らなかったので、最初の旅行で景徳鎮は言い値で買ってしまい、掛け軸もそれほど値切れなかったのである。

   余談だが、アラブの商法も中国の商法も、商売は、極論すれば、あることないこと捲し立ててでも相手を説得する、商人と客の知恵の出しあい鬩ぎあいであって、知恵を出して値切れない客は、馬鹿にされる。そんな文化なのである。
   とにかく、欧米は勿論、アジア、中近東、南アメリカ等々、世界各地でビジネスを続けてきた私でも、国によってビジネス手法は千差万別なので、苦労の連続、それ程、インターナショナルビジネスは、難しいのである。
   
   
コメント
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