今日の国立演芸場の 第418回 国立名人会 は次の通り。
チケットは早くからソールドアウト。
講談「馬場の大盃」 一龍斎貞友
曲独楽 三増紋之助
落語「中村 仲蔵」 三笑亭夢太朗
― 仲入り―
講談「累」 一龍斎貞水
制作協力:(株)影向舎
人間国宝・一龍斎貞水の立体怪談「累」、
薄暗い舞台には、お化けの出そうな墓場の幽霊屋敷を模した装置が設営され、中央に、苔むした講釈台が置かれて、貞水が座っていて、講談のストーリー展開や情景に合わせて、照明が変化し効果音が加わって、オドロオドロシイ実際の現場を見ているような臨場感と怖さと感じさせる立体的な舞台芸術。
語りながら百面相に変化する貞水の顔を、演台に仕掛けられた照明を微妙に変化させて、スポットライトや色彩を変化させて下から煽るので、登場人物とダブらせて、凄みを見せる。
暗闇の舞台の破れ提灯や行燈が微かに揺れて光を帯び、行燈が割れてドクロ首が飛び出し、寂びれた障子に幽霊の影が映ったり、人魂が宙を舞ったり、最後には、累(かさね)の亡霊が障子を破って飛び出す。
主人公の累は、顔が醜いために夫に殺されて、怨霊となってとり憑く女の物語。
怨霊は、化けて自由自在に登場して、復讐して恨み辛みを晴らすと言う特権を持っているので、どんな手を使ってでも、いくらでも悪を挫き正義の味方面が出来る虚構の世界の住人。この、いわば、庶民にとっては、無残に夢を絶たれて逝った悲劇の主人公が救世主のような蘇って留飲を下げてくれるのであるから、怖いけれど面白い。この逆転パラドックスが、怪談の良さかも知れない。
さて、記憶が確かなら、「累」の話は、
下総国岡田郡の百姓・与右衛門は、後妻のお杉の5才の連れ子を邪険に扱って、誤って川に溺れさせて、棒杭に顔を打ち付けて醜い顔になって土座衛門として上がってきたのだが、それが祟って、その後生まれた娘累もよく似た事情で、片足が悪くて醜い顔になって成人したのだが、息倒れで倒れていた流れ者の谷五郎を甲斐甲斐しく看病し、両親の死後、二代目与右衛門として婿に迎えて跡を継がせる。しかし谷五郎は、容姿の醜い累を殺して別の女と一緒になる計画を立て、累の背後に忍び寄って、川に突き落とし、必死に縋る累を残忍な方法で殺す。その後、谷五郎は幾人もの後妻を娶ったが、次々と死んでしまう。頑健な後妻・きよとの間に、娘菊が生まれたが、累の怨霊が現れて、少女になった菊を責めさいなむ。
最後は、弘経寺の祐天上人が累の解脱に成功するのだが、オドロオドロシイ累(後に、かさね)の怨霊の凄まじさに圧倒される。
累ものとして、歌舞伎など色々作品はあるようだが、この累の死体が上がったところを累ヶ淵と言うようで、三遊亭円朝も、怪談噺「真景累ヶ淵」を作っている。
落語の圓朝ものも、当然、立体落語になるであろう。
歌丸の圓朝ものでも、効果音が入ったり、趣向を凝らした高座もあったりで、面白いことがある。
一度、円丈の高座だと思うが、立体落語を見た記憶があるが、落語に、幅と奥行きを感じて、非常に面白かった。
一龍齋貞友の「馬場の大杯」は、伊賀上野の藤堂高虎の子息2代目大学守高次公の酒の相手をした侍の話。
名調子で面白かった。
アニメのちびまる子ちゃんやクレヨンしんちゃんなどの声優なので、学校の公演に行くと、人気絶頂で、師匠を食うとか、貞水が語っていた。
夢太朗の落語「中村仲蔵」は、歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の五段目の(二つ玉の段)で、与市兵衛の財布を奪って、「五十両ォ~」と一言喋るだけの斧定九郎を、名優の演じる役どころにした「中村仲蔵」の革新的な芸の編み出し逸話。
歌舞伎ファンであり、よく知っている話なので面白かった。
曲独楽の三増紋之助
器用な曲芸師だが、真剣の切っ先に独楽が移動する瞬間に、独楽を落としてしまった。
わざとではないと思うが、やり直して成功、客は、むしろ、両方を見られて大喜び。
後に高座に上がった、夢太朗が、万が一の失敗を枕に語っていたら、袖から、三増紋之助が飛び出してきて抗議したので、客席爆笑。
チケットは早くからソールドアウト。
講談「馬場の大盃」 一龍斎貞友
曲独楽 三増紋之助
落語「中村 仲蔵」 三笑亭夢太朗
― 仲入り―
講談「累」 一龍斎貞水
制作協力:(株)影向舎
人間国宝・一龍斎貞水の立体怪談「累」、
薄暗い舞台には、お化けの出そうな墓場の幽霊屋敷を模した装置が設営され、中央に、苔むした講釈台が置かれて、貞水が座っていて、講談のストーリー展開や情景に合わせて、照明が変化し効果音が加わって、オドロオドロシイ実際の現場を見ているような臨場感と怖さと感じさせる立体的な舞台芸術。
語りながら百面相に変化する貞水の顔を、演台に仕掛けられた照明を微妙に変化させて、スポットライトや色彩を変化させて下から煽るので、登場人物とダブらせて、凄みを見せる。
暗闇の舞台の破れ提灯や行燈が微かに揺れて光を帯び、行燈が割れてドクロ首が飛び出し、寂びれた障子に幽霊の影が映ったり、人魂が宙を舞ったり、最後には、累(かさね)の亡霊が障子を破って飛び出す。
主人公の累は、顔が醜いために夫に殺されて、怨霊となってとり憑く女の物語。
怨霊は、化けて自由自在に登場して、復讐して恨み辛みを晴らすと言う特権を持っているので、どんな手を使ってでも、いくらでも悪を挫き正義の味方面が出来る虚構の世界の住人。この、いわば、庶民にとっては、無残に夢を絶たれて逝った悲劇の主人公が救世主のような蘇って留飲を下げてくれるのであるから、怖いけれど面白い。この逆転パラドックスが、怪談の良さかも知れない。
さて、記憶が確かなら、「累」の話は、
下総国岡田郡の百姓・与右衛門は、後妻のお杉の5才の連れ子を邪険に扱って、誤って川に溺れさせて、棒杭に顔を打ち付けて醜い顔になって土座衛門として上がってきたのだが、それが祟って、その後生まれた娘累もよく似た事情で、片足が悪くて醜い顔になって成人したのだが、息倒れで倒れていた流れ者の谷五郎を甲斐甲斐しく看病し、両親の死後、二代目与右衛門として婿に迎えて跡を継がせる。しかし谷五郎は、容姿の醜い累を殺して別の女と一緒になる計画を立て、累の背後に忍び寄って、川に突き落とし、必死に縋る累を残忍な方法で殺す。その後、谷五郎は幾人もの後妻を娶ったが、次々と死んでしまう。頑健な後妻・きよとの間に、娘菊が生まれたが、累の怨霊が現れて、少女になった菊を責めさいなむ。
最後は、弘経寺の祐天上人が累の解脱に成功するのだが、オドロオドロシイ累(後に、かさね)の怨霊の凄まじさに圧倒される。
累ものとして、歌舞伎など色々作品はあるようだが、この累の死体が上がったところを累ヶ淵と言うようで、三遊亭円朝も、怪談噺「真景累ヶ淵」を作っている。
落語の圓朝ものも、当然、立体落語になるであろう。
歌丸の圓朝ものでも、効果音が入ったり、趣向を凝らした高座もあったりで、面白いことがある。
一度、円丈の高座だと思うが、立体落語を見た記憶があるが、落語に、幅と奥行きを感じて、非常に面白かった。
一龍齋貞友の「馬場の大杯」は、伊賀上野の藤堂高虎の子息2代目大学守高次公の酒の相手をした侍の話。
名調子で面白かった。
アニメのちびまる子ちゃんやクレヨンしんちゃんなどの声優なので、学校の公演に行くと、人気絶頂で、師匠を食うとか、貞水が語っていた。
夢太朗の落語「中村仲蔵」は、歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の五段目の(二つ玉の段)で、与市兵衛の財布を奪って、「五十両ォ~」と一言喋るだけの斧定九郎を、名優の演じる役どころにした「中村仲蔵」の革新的な芸の編み出し逸話。
歌舞伎ファンであり、よく知っている話なので面白かった。
曲独楽の三増紋之助
器用な曲芸師だが、真剣の切っ先に独楽が移動する瞬間に、独楽を落としてしまった。
わざとではないと思うが、やり直して成功、客は、むしろ、両方を見られて大喜び。
後に高座に上がった、夢太朗が、万が一の失敗を枕に語っていたら、袖から、三増紋之助が飛び出してきて抗議したので、客席爆笑。