
恒例の相曽賢一朗ヴァイオリン・リサイタル2016は、第20回記念となり、昨年同様に、全曲、バッハの無伴奏ヴァイオリン演奏でプログラムを組んだ非常に意欲的な演奏会であった。
プログラムは、次の通り。
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番 イ短調 BWV1003
無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番 ホ長調 BWV1006
無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV1011(ヴィオラ)
無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番 ハ長調 BWV1005
2時間、休憩を挟むものの、休むことなく無伴奏で、一糸乱れることなく、ダイナミックに緩急強弱自在に相曾独特の美音を奏で続けたのは、流石で、アンコールには、ボーイングを長く保ちながら天国からのような美しいG線上のアリアを演奏し、喝采を浴びていた。
バッハと言えば、若い頃に、良く分からにままに、カール・リヒターのマタイ受難曲やミサ曲ロ短調などのコンサートを無理して聴きに入ったり、欧米に行ってからは、教会でのバッハのオルガン演奏や、コンサートでのブランデンブルク協奏曲を聴くくらいで、私には、非常にハードルの高い音楽家であって、聴く機会が少なかった。
まして、器楽曲の無伴奏作品と言えば、NHKで放映されたロストロポーヴィッチの無伴奏チェロ組曲を録画して聴いた以外は、パルティータをヴァイオリニストのアンコールで聴くのがやっとで、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータを、今回の相曾リサイタルのように、本格的に聴くなど想像もできなかった。
相曽君が、ロンドンのアカデミー・オブ・ミュージックに留学で訪英してきた時に、キューガーデンの我が家に滞在して、聴かせてくれた一曲が、宮城道雄の「春の海」の尺八パートで、それまでに、宮城道雄とシュメーの演奏を聴いていたので、かすれた正に尺八そのものの音色を聴いて、強烈な印象を持った。
あれから、もう24年。
今回の20回のリサイタルの全記録を見ても、相曽賢一朗の大変なヴァイオリン行脚の凄さが分かるのだが、ロンドンで鍛えに鍛えて、今や、最初の留学先アメリカにも活躍の場を広げており、更に、バーミンガム音楽院や英国王立音楽アカデミーなど各地で教鞭をとるなど、八面六臂の活躍をする著名なヴァイオリニスト。
ロンドンの頃に、相曽ファンになった我々オールド・ファンは、この日本でのコンサートに同窓会を兼ねながら駆けつけているのだが、10年振りかで訪れた元ビジネス戦士が、相曽さんの音色に随分豊かな艶が出てきたなあと言ったら、当たり前ですよと奥方が相槌を打っていた。
今回のリサイタルは、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータだけのプログラムを組んで、日本の音楽ファンに対峙する相曽賢一朗の並々ならぬ自信と誇りが炸裂した演奏会であった。
遠い遠い存在であったバッハに、改めて、音楽の楽しさ素晴らしさを感じさせてくれた一夜で、感謝している。
口絵写真は、東京文化会館でのリサイタルの終演後、ファンへのDVDのサイン中に、こっちを向いてもらって撮影したもの。
プログラムは、次の通り。
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番 イ短調 BWV1003
無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番 ホ長調 BWV1006
無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV1011(ヴィオラ)
無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番 ハ長調 BWV1005
2時間、休憩を挟むものの、休むことなく無伴奏で、一糸乱れることなく、ダイナミックに緩急強弱自在に相曾独特の美音を奏で続けたのは、流石で、アンコールには、ボーイングを長く保ちながら天国からのような美しいG線上のアリアを演奏し、喝采を浴びていた。
バッハと言えば、若い頃に、良く分からにままに、カール・リヒターのマタイ受難曲やミサ曲ロ短調などのコンサートを無理して聴きに入ったり、欧米に行ってからは、教会でのバッハのオルガン演奏や、コンサートでのブランデンブルク協奏曲を聴くくらいで、私には、非常にハードルの高い音楽家であって、聴く機会が少なかった。
まして、器楽曲の無伴奏作品と言えば、NHKで放映されたロストロポーヴィッチの無伴奏チェロ組曲を録画して聴いた以外は、パルティータをヴァイオリニストのアンコールで聴くのがやっとで、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータを、今回の相曾リサイタルのように、本格的に聴くなど想像もできなかった。
相曽君が、ロンドンのアカデミー・オブ・ミュージックに留学で訪英してきた時に、キューガーデンの我が家に滞在して、聴かせてくれた一曲が、宮城道雄の「春の海」の尺八パートで、それまでに、宮城道雄とシュメーの演奏を聴いていたので、かすれた正に尺八そのものの音色を聴いて、強烈な印象を持った。
あれから、もう24年。
今回の20回のリサイタルの全記録を見ても、相曽賢一朗の大変なヴァイオリン行脚の凄さが分かるのだが、ロンドンで鍛えに鍛えて、今や、最初の留学先アメリカにも活躍の場を広げており、更に、バーミンガム音楽院や英国王立音楽アカデミーなど各地で教鞭をとるなど、八面六臂の活躍をする著名なヴァイオリニスト。
ロンドンの頃に、相曽ファンになった我々オールド・ファンは、この日本でのコンサートに同窓会を兼ねながら駆けつけているのだが、10年振りかで訪れた元ビジネス戦士が、相曽さんの音色に随分豊かな艶が出てきたなあと言ったら、当たり前ですよと奥方が相槌を打っていた。
今回のリサイタルは、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータだけのプログラムを組んで、日本の音楽ファンに対峙する相曽賢一朗の並々ならぬ自信と誇りが炸裂した演奏会であった。
遠い遠い存在であったバッハに、改めて、音楽の楽しさ素晴らしさを感じさせてくれた一夜で、感謝している。
口絵写真は、東京文化会館でのリサイタルの終演後、ファンへのDVDのサイン中に、こっちを向いてもらって撮影したもの。