熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

芳醇なドイツ音楽の夕べ・・・ウィーン・ビルトゥオーゾ演奏会

2005年11月15日 | クラシック音楽・オペラ
   今夜、初台の東京オペラシティ・コンサートホールで、ウィーン・ヴィルトゥオーゾのコンサートがあったので出かけた。
   毎年来日しているようなので、お馴染みの室内楽団で、殆ど聴いているが、昨年も、このホールであった。
   ウィーン・フィルのコンサート・マスター・フォルクハルト・シュトイデ氏の率いる楽団で、各パートの首席奏者クラスで編成されているので、言うならば、極め付きの集団である。
   これが自家薬籠中の、どちらかと言えばポピュラーなドイツ音楽を演奏するのであるから、素晴しくない筈がない。
   しかし、これが結構客席に空席が目立つ状態であるから、日本のクラシック市場も分からない。

   今夜は、ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」と、「ハンガリー舞曲」の間に、モーツアルトの「ヴァイオリン協奏曲第4番」、そして、「交響曲第40番」、R.シュトラウスの「ヴァイオリンのための、ばらの騎士ワルツ」を挟んでのプログラムであった。
   ヴァイオリン協奏曲は、昨年第3番を熱演した美人の寺沢希美で、慣れた所為か堂々とした弓捌きで、実に流麗で美しいモーツアルトを引き出しグァルネリを歌わせていた。
   ばらの騎士ワルツの独奏ヴァイオリンを引いたシュトイデは、流石に芸達者で、ばらの騎士のオペラの舞台を髣髴とさせる素晴しい名演で、客席から喝采を受けていた。

   飛び切り素晴しかったのは、モーツアルトの40番で、若い頃モーツアルトが好きで、カール・ベーム指揮ウィーン・フィルのレコードを擦り切れるくらい聴いていた。
   特に後期の39番、40番、そして、41番は、趣味がオペラの方に移るまでは、ベートヴェンの交響曲とともに、交響曲部門では、最後まで好きな曲であったので、あの頃を懐かしみながら聴いていた。

   ウィーン・フィルは、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の謂わばコンサート・オーケストラ部と言うわけで、比較的、定期公演が少ない楽団である所為か、4重奏団からはじめて小編成の楽団が色々編成されていて夫々演奏会を開いているが、このように12人程度の編成になると、交響曲や協奏曲などフル・オーケストラ並の楽曲を演奏する。
   やはり、弦楽5部が1人ずつなので多少弦が弱い感じがするが、それが気にならないから不思議である。
   もう一方のオペラ部は、今シーズンなので、ウィーン国立歌劇場のオーケストラ・ピットに入って演奏中だが、やはり、凄い音楽集団である。

   何時も、これ等のウィーン・フィルの小編成の室内楽団の演奏を聴いて思うのだが、彼らの演奏するドイツ音楽の質は、批評の域を遥かに超えており、どうこう言う次元の音楽ではないと言うことである。
   当然指揮者はいないので、奏者の暗黙の了解によって創り出された音楽である。
   昔、ハイフェッツかピアティゴルスキーかどっちか忘れてしまったが、途中で、楽譜を忘れてしまって無茶苦茶演奏したが、上手く合奏出来て素晴しかったと自伝に書いてあったのを読んだことがあるが、その道のエキスパートになるとそんなものかも知れない。
   まして、ウィーン・フィルの奏者にとっては、骨の髄まで知りつくしている音楽なのであるから、途轍もない素晴しい合奏が生まれても不思議ではない。
   まさに、本物の音楽を聴く至福の喜び、そんな気持ちで聴いている。
   
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