熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

歳末ジャンボ宝くじの季節・・・賭け好きのイギリスとアスコット競馬

2005年12月18日 | 生活随想・趣味
   有楽町の駅、牛丼の吉野家の前に、宝くじ売場があり、列が続いている。
   初日など発売前から長い列を作っている数寄屋橋の交差点の売場程ではないが、ここも、大当たりが出るとかで人気が高い模様で、老若男女、色々な人が並んで宝くじを買っている。

   籤運と言うのがあるのかないのか知らないが、福引でも殆ど当たった経験のない私には宝くじには興味がなく、何時も売場の列を見ながら側を素通りする。
   最近、行列など殆ど見なくなったが、その長い列の側で、献血の協力を呼びかけるスピーカーががなりたてている。
   チェルノビリの時にオランダに、そして狂牛騒ぎの時にイギリスに居て、献血の資格がないので、両方とも私には縁がない。

   ところで宝くじ、縁起を担ぐのか、初日や大安吉日、それに、良く当り券が出る店は客が多いとか。私は、確率の問題だと思っているが。
   この有楽町の売場は、とにかく、赤色を無闇に使った店のディスプレイで、香港か台湾の場末の屋台のような雰囲気で、横に大黒天の祭壇まで併設されている。
   懐かしさを覚えたのか、中国人の老夫婦が近づいて来て、賽銭のつもりか赤い大きなお札を取り出して大黒天の前に立った。

   日本人も賭け好きだが、やはり、世界一の賭け好きはイギリス人であろうと思う。
   街のあっちこっちにある賭け専門のボックスは流行っており、鉛筆でマス目を埋めている人が多い。
   スポーツの殆どはイギリス発だと言う。文武両道と聞こえの良いことを言うが、やはり、賭け好きのなせる業だと思っている。

   私が、賭けをしたのは、ほんの数回。子供の頃の村祭りでの夜店でのパチンコ、ラスベガス等でのルーレットとスロットマシン、それに、アスコット競馬での馬券、そんなところであろうか。
   負ければ面白くないし、勝てば相手が気の毒になるし、とにかく、勝負には向かない。それに、一攫千金などと言うことは、起こりえても自分には関係のない話だと思っているが、ラスベガスのスロットマシンの時には、幸い、あのチップと同じ大きさの古いアメリカの銀貨やアイゼンハワーの1ドル硬貨が沢山出て来た。
   その硬貨も宿替を繰り返している間になくなってしまった。

   イギリスに居る時、アスコット競馬には、イギリスの友人に招待されて何度か出かけた。
   あのオードリー・ヘップバーンが出ていた「マイ・フェア・レイディ」のアスコットである。
   当日は、グレイのモーニングに山高帽の正装で、家内も帽子着用の正装。
   ベンツとは言え、当日は、自分で運転して行く訳には行かないのでリムジンを手配して早くからロンドンを発って行く。
   とにかく、ロンドンからアスコットの道は渋滞で、広い駐車場へのアクセスがまた大変、ヘリコプターをチャーターして乗りつける客もいる。
   昔なら優雅に馬車に乗って、と言うところであろうが、馬車で入場するのは、エリザベス女王陛下と王室の人々だけ。
   右側の特別のゲートが開くと、映画の一場面とそっくり同じ馬車に乗って両殿下とチャールズ皇太子ダイアナ妃等皇室の方々が正面のコースを通って入場されてメインスタジアムの特別席に着かれる。

   競馬場には、6階建てだか何階建てだか忘れてしまったが横長の中層の大きなスタジアムの建物が立っていて、夫々、長い廊下に沿って個室が並んでいてレース場に面した窓側に個別に張り出した観覧席がある。
   一階の中央が貴賓席である。
   各階の廊下の中央がホールになっていて、その階の馬券売場がある。
   私は何時も、この個室の方に招待されて居たので良く分からないが、一般客は、建物の正面の広い立ち見席で見ているようであった。
   この立ち見客もすべて正装、そうでないと入場できないし、カメラも取り上げられてしまう。
   ここにも、馬券売場があるが、広場には、キャンデー売りのようなボックスを持ったダフ屋風の馬券売り(勿論ダフ屋ではない)があっちこっちに居る。

   ところで、レースは障害も含めて6レースだったと思うが、とにかく、レースとレースの間が長いので、個室に入って四六時中飲み食いと談笑、良い気持ちになって、レースが始まるぞと言うと、外の観覧席に出て馬を見る。
   日本の競馬場と違って、長距離レースになると、スタート地点が遥か彼方に移動して、馬が近づくまで時間がかかる。
   レースについて書かれた小冊子を貰って読む。ここには、この馬は親がどんな馬でレース歴はと言ったことがコト細かく書かれており、また複雑な賭け方など伝授してくれているが、私は、馬には全く拘らずに単勝で3番の一点張り。
   これで、大体何時も、勝ち負けトントンで少し負け程度であった。

   女王陛下の馬がどうだとか、勝ち負けがどうだとか、と言うよりは、マスコミは、観客の婦人方の帽子のファッションを写真入で大々的に報道する。
   たまに、興奮してこぶしを握り締めて叫んでいる女王陛下の写真が掲載されることがある。

   何でも楽しむ為にショー化してパーティに変えてしまい、それに、賭けの楽しみがあれば、なお結構と言うことであろうか。
   イギリスに居て、パーティ等の機会が多いのにビックリした。
   タキシードは、必須である。
   それに、音楽会や観劇、スポーツ観戦などは恰好の社交の場で、私がオペラを好きなのを知っているので、英人の友は、グラインドボーンやロイヤル・オペラに誘ってくれた。
   しかし、何故かシェイクスピアに行こうと言ってくれた英人はいないし、シェイクスピアについて話をしたことも殆どない。
   やはり、イギリスでもシェイクスピアは、日本の歌舞伎や文楽なみで、一寸特別なのであろうと思った。

   何れにしろ、イギリス人の人生を楽しむ為の生きる知恵には限りがない。
   あの何時間も何日も続くクリケットもその一つ、とにかく、延々と続いているクリケットなどたまにチラリと見る程度で、後は飲んで食べて駄弁っている、これについてはまた稿を改めて書いてみたい。
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