熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

文化三昧ミラノ・ロンドン旅・・・18 ナショナル・ギャラリィ、まさに美の殿堂

2005年08月03日 | 欧州紀行(文化三昧ミラノ・ロンドン旅)
   エルミタージュだけは行っていないので知らないが、絵画美術館単独としては、このロンドンのナショナル・ギャラリィは世界最高の美の殿堂ではないかと思っている。
   もう随分前になるが、イギリスに居た頃、ペリカンブックスだと思うが、その解説本を読んで、一点一点片っ端からこの美術館の絵を丹念に鑑賞しながら観て回ったことがある。都合2日で8時間かかった。
   そのお陰か、特別な展示変えがなければ、大体、どの絵は何処にあるのか分かっていて、時間が十分にない時にはどの絵を見るのか、大体目星を付けて回ることにしている。

   私は、どちらかと言えば、宗教画は除外して、ルネサンス期前後からは、古い方の絵に興味がある。
   今回は、時間があったので、ほぼ、全館回ることが出来た。
   
   ロンドンに居た時に、西側に新しいセインズベリー棟が建設されて、それまで複数階に分散されていた絵が、全部2階レベルに展示されるようになって随分楽になった。
   私は、何時も、ショップがありオープンスペース豊かな比較的空いているこのセインズベリー棟から入る。昔は、階段を上がった所すぐに、目指すイタリア絵画が展示されていたからである。

   最初にここへ来た時の印象が強烈で、真っ先に、ダヴィンチ、ミケランジェロとラファエロの絵を見に行き、その習慣が続いている。
   今回、ダヴィンチのチョークと木炭で描かれたカルトン「聖母子と聖アンナと洗礼者聖ヨハネ」が、薄暗い小部屋にあったのだが、ルーブルにもあるダヴィンチの「岩窟の聖母」と同じ大部屋に移されていた。
   特別な保存方法を施されたのであろうか、白日に曝されて、良く見えなかった細部が鮮やかに蘇ったが、何となく有り難味が薄れた感じである。

   ミケランジェロは、未完で彩色が不十分な絵が2点、一つは両脇から支えられた「キリストの埋葬」だが、やはり、裸体については東西随一、実に美しい。もう一つは、珍しくも綺麗な胸を露にした「聖母子と聖ヨハネと天使たち」で、あのミラノ城にある未完の彫刻「ピエタ像」のように、どこか寂しい。
   ミケランジェロは、フィレンツェのウフィツィに実に美しくて素晴らしい「ドーニ家の円形画」があるが、絵画は残っていない。せめてダヴィンチ程度に絵が残っておれば、如何に素晴らしかったか、システナ礼拝堂の壁画を思うと何時もそんな気になる。

   ここのラファエロは、定番の聖母子ではなく、横向きの優雅なポーズの「アレクサンドリアの聖カタリナ」と「アンシディの聖母」、個性豊かな「教皇ユリウス2世」、何れも彩色の美しい絵である。

   この美術館で必ず見るのは、フェルメールの2点と一群のレンブラント。
   そして、素晴らしく細密で写真以上に写実的な絵、ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィニ夫妻の肖像」、ジョバンニ・ベリーニの「ヴェネツィア総督レオナルド・ドレダン」、ヤン・フォサールトの「三王礼拝」等など。
   兎に角、見たい絵が多くて時間配分に困っている。
   何回見ても、その場を離れれば、その瞬間に記憶から消えてしまう、印象など儚いものである。だから、また、見たくなるのかもしれない。
   
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