”ギリシャに死期が近づいている理由を知りたければ、クリストファー・イーグルトン氏の体験談を聞くといい。 ロンドンのビジネスマン、イーグルトン氏はクレタ島における数千の雇用創出と地元経済の活性化のために過去12年間と5000万米ドルを費やしてきた。・・・ 英雄的な努力と強大な政治的支援にもかかわらず、そのプロジェクトは発足から12年が経過して今も計画段階にある。”
こんな書き出しで始まるWSJ記事のクレタ島での大型観光プロジェクトだが、ギリシャ的ビジネス慣行が災いして、二進も三進も行かない。
”このところのギリシャ危機で、世界の目が急増する国家債務に注がれているが、これは症状でありながら原因でもある。稼ぎがないにもかかわらず、支払いに充てるための借金を繰り返しているのだ。イーグルトン氏の話は、ギリシャが必要な資金を稼げない理由を浮き彫りにしている。” と言うのである。
”イーグルトン氏は、ロンドンに拠点を置く上場企業、ミノアンの会長である。同社はクレタ島東部の低木地の一画にリゾート施設を建設しようとしている。このプロジェクトはもともと、クレタ島の経済発展、雇用創出、成長を望んでいた地元の修道院長のアイディアだった。ミノアンの当初の計画には、5つのホテル、マリーナ、リゾートマンションなどが含まれていた。実現していれば、2300人の直接的な雇用に加えて、1万1000人の間接的な雇用を生み出していたかもしれず、ギリシャの低開発地域に最低でも年間1億米ドルの収入をもたらすはずだった。”と言うのだが、”同氏に手を差し伸べる地元の住人も大勢いた。しかし、その手の多くは、袖の下を受け取ろうとして出されたものだった。 「異例な要求がたくさんあった」。イーグルトン氏は賄賂についてこう述べた。「モラル面での賛否とは別に、われわれはそうした要求に応じられなかった。英国や米国の企業にとって、それは違法行為になる」”
”実際にはプロジェクト発足後8年目で開発許可が下りたが、反対派が上訴したため、またしても官僚的な手続きに苦しめられた。そして昨年ついに、ギリシャの裁判所でこのプロジェクトの申請が棄却された。”
事業計画を縮小して再提出中だが、アミアン株の異常安を見れば、ロンドン市場が絶望視しているのが分かると言う。
私自身、この記事の深刻な事情は、長い海外経験から、痛い程分かるのだが、ビジネス・モラルの欠如した新興国や発展途上国での海外事業で、必ず遭遇する問題で、実際に事業を行っているMNCが、これまでどのように対処して来たのか、非常に興味のある問題でもあり、現実を知りたいと思っている。
私のブログで、某大学での講義の参考にと思って、「BRIC’sの大国ブラジル」を書いており、この辺の事情が垣間見えるのだが、ラテン・アメリカでは、このギリシャのケースと似たり寄ったりの現状のようだし、余程、強力なアミーゴの支援と協力サポートを得ないと、事業の推進は非常に難しいと言う。
ブラジルにあるデスパシャンテと言う何でも屋の許認可取得会社は、かなり高い然るべき金額を支払えば、非常に時間が掛かって取得が困難な許認可でも、かなり、早く容易に取ってくれるのだが、これなど、合法的な裏手段なのかも知れない。
現実にラテン系の国は、国にもよるのだが、アミーゴ社会であって、身内や家族主義的、仲間意識が優先するクローニーキャピタリズムの要素の強いビジネス慣行で、アミーゴ関係が優先して法律契約軽視であるから、英米のように法律や契約が総てであるような法治国家とは違うので、理屈では物事が進まない。
こんなところでは、必ず、イーグルトンのような問題に遭遇するのだが、現在のEUの深刻な経済問題を見ていると、いわば、文明の衝突とも言うべき深刻なケースで、ギリシャとドイツの合意など、本来は、大義名分がなければ不可能な筈なのである。
先月、腐敗に対するグローバルの戦いをリードすると言うNPOのトランスペアレンシー・インターナショナルが、「公共部門の腐敗度を示す2010年腐敗認識指数」を発表した。
勿論、ギリシャなどは、178の内の78位で、目も当てられない程程度が低いのだが、中国も同じ78位で、ブラジルが69位、イタリアが67位と言う体たらく。先進国で最下位のスペイン30位、ポルトガル32位と比べても、非常に腐敗度が高いビジネス・モラルの低い国だと言うことが分かろうと言うものだが、今、ヨーロッパの財政危機で、デフォールトの心配のある国が、腐敗認識指数が高いのも肯けるような気がする。
因みに、1位は、デンマーク、ニュージーランド、シンガポールで、イギリスは20位、アメリカは22位、わが日本は、幸い17位で善戦している。
こんな書き出しで始まるWSJ記事のクレタ島での大型観光プロジェクトだが、ギリシャ的ビジネス慣行が災いして、二進も三進も行かない。
”このところのギリシャ危機で、世界の目が急増する国家債務に注がれているが、これは症状でありながら原因でもある。稼ぎがないにもかかわらず、支払いに充てるための借金を繰り返しているのだ。イーグルトン氏の話は、ギリシャが必要な資金を稼げない理由を浮き彫りにしている。” と言うのである。
”イーグルトン氏は、ロンドンに拠点を置く上場企業、ミノアンの会長である。同社はクレタ島東部の低木地の一画にリゾート施設を建設しようとしている。このプロジェクトはもともと、クレタ島の経済発展、雇用創出、成長を望んでいた地元の修道院長のアイディアだった。ミノアンの当初の計画には、5つのホテル、マリーナ、リゾートマンションなどが含まれていた。実現していれば、2300人の直接的な雇用に加えて、1万1000人の間接的な雇用を生み出していたかもしれず、ギリシャの低開発地域に最低でも年間1億米ドルの収入をもたらすはずだった。”と言うのだが、”同氏に手を差し伸べる地元の住人も大勢いた。しかし、その手の多くは、袖の下を受け取ろうとして出されたものだった。 「異例な要求がたくさんあった」。イーグルトン氏は賄賂についてこう述べた。「モラル面での賛否とは別に、われわれはそうした要求に応じられなかった。英国や米国の企業にとって、それは違法行為になる」”
”実際にはプロジェクト発足後8年目で開発許可が下りたが、反対派が上訴したため、またしても官僚的な手続きに苦しめられた。そして昨年ついに、ギリシャの裁判所でこのプロジェクトの申請が棄却された。”
事業計画を縮小して再提出中だが、アミアン株の異常安を見れば、ロンドン市場が絶望視しているのが分かると言う。
私自身、この記事の深刻な事情は、長い海外経験から、痛い程分かるのだが、ビジネス・モラルの欠如した新興国や発展途上国での海外事業で、必ず遭遇する問題で、実際に事業を行っているMNCが、これまでどのように対処して来たのか、非常に興味のある問題でもあり、現実を知りたいと思っている。
私のブログで、某大学での講義の参考にと思って、「BRIC’sの大国ブラジル」を書いており、この辺の事情が垣間見えるのだが、ラテン・アメリカでは、このギリシャのケースと似たり寄ったりの現状のようだし、余程、強力なアミーゴの支援と協力サポートを得ないと、事業の推進は非常に難しいと言う。
ブラジルにあるデスパシャンテと言う何でも屋の許認可取得会社は、かなり高い然るべき金額を支払えば、非常に時間が掛かって取得が困難な許認可でも、かなり、早く容易に取ってくれるのだが、これなど、合法的な裏手段なのかも知れない。
現実にラテン系の国は、国にもよるのだが、アミーゴ社会であって、身内や家族主義的、仲間意識が優先するクローニーキャピタリズムの要素の強いビジネス慣行で、アミーゴ関係が優先して法律契約軽視であるから、英米のように法律や契約が総てであるような法治国家とは違うので、理屈では物事が進まない。
こんなところでは、必ず、イーグルトンのような問題に遭遇するのだが、現在のEUの深刻な経済問題を見ていると、いわば、文明の衝突とも言うべき深刻なケースで、ギリシャとドイツの合意など、本来は、大義名分がなければ不可能な筈なのである。
先月、腐敗に対するグローバルの戦いをリードすると言うNPOのトランスペアレンシー・インターナショナルが、「公共部門の腐敗度を示す2010年腐敗認識指数」を発表した。
勿論、ギリシャなどは、178の内の78位で、目も当てられない程程度が低いのだが、中国も同じ78位で、ブラジルが69位、イタリアが67位と言う体たらく。先進国で最下位のスペイン30位、ポルトガル32位と比べても、非常に腐敗度が高いビジネス・モラルの低い国だと言うことが分かろうと言うものだが、今、ヨーロッパの財政危機で、デフォールトの心配のある国が、腐敗認識指数が高いのも肯けるような気がする。
因みに、1位は、デンマーク、ニュージーランド、シンガポールで、イギリスは20位、アメリカは22位、わが日本は、幸い17位で善戦している。