地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

惜別!東横線8000系 (1) さよなら台形HM編

2008-01-13 16:00:58 | 大手民鉄 (東急)


 1969年に登場して以来、約39年間にわたって東横線、いや東急の顔として活躍してきた8000系。しかし、相次ぐ5050系の増備の結果、2008年を元住吉で迎えたのは8017Fのみとなり、その8017Fもさる1月7日の30運行を最後に通常の運用から退き、きょう東横線でのさよなら運転を行いました。
 これまで幾度となく当ブログでも独白しております通り、私は8000系の登場から間もなく白楽駅の近くで生まれ、幼稚園児の頃まで暇さえあれば窓の外を行き交う東横線の電車を飽くことなく眺めておりました。したがって、東横線の8000系はまさに個人的な鉄道趣味の原点。そんな8000系が東横線から消えるということは……到底信じがたく、受け容れがたいことであります。後にどれほど9000系や5050系が現れようとも、決して銹びることなく美しく光るステンレスの車体といい、そして今も昔も快調に唸り続ける力強いモーター音といい、8000系はあくまで最初の輝きを失わず、永遠に走り続ける「新型電車」だったのですから……。



 しかし、8000系がいつの間にか最古参となっていたのは、やはり否定しがたい事実。高度成長時代の私鉄通勤車両の最高傑作のひとつとして地道かつ着実に活躍を続けてきた8000系は、決して「驕れる者は久しからず」の例と同列に論じられる存在ではありませんが、それでもやはり、あらゆる人生と鉄道車両の運命と同じく「諸行無常・盛者必衰」とは無縁ではありえません。そこで、この日が決まったからには是非、かつて慣れ親しんだ場所で別れを告げたいと思いまして、寒気が流れ込む底冷えする天気をいとわず、沿線に繰り出してみました。
 まず訪れたのは妙蓮寺~白楽間にある白幡町のカーブ (1枚目)。「最も思い出深い場所で、最も完璧なさよなら運転シーンを撮ることに成功しさえすれば、今日の目的は100%達成される……逆に失敗したら一生の悔恨になりうる」という覚悟で、異常に底冷えする中を待ち続けること約3時間。盛大なタイフォンの連続とともに姿を現した8017Fの正面に、急行HMとは比較にならないほど巨大で堂々としたHM、そして急行灯がついているのを眼にした瞬間、ファインダーを覗く眼が熱い涙でうるんでしまったのでした……。

 その後は、都内の区間では個人的に最も撮り慣れた自由が丘にて、1往復目のモトスミ~渋谷間でしか表示されなかった「特急渋谷行」を後追いながら撮影しまして (2枚目)、2往復目に備えたのでした……。
 そこで、次回以降数回に分けて、8017Fの年末年始の表情やさよなら運転の続編を取り上げてみることにしまして、もう少しばかり、別れの余韻に浸ってみることにしたいと思います……。
 何はともあれ、この手のイベントに思うところはいろいろあるのですが、偉大なる8000系の今日までの長年にわたる安全運転、そして東横線大量輸送の立役者としての大活躍、本当にお疲れさまでした……!! また、8000系にさよなら運転の素晴らしき晴れ舞台、及び引退直前の神秘的な活躍を用意して下さった東急関係者 (特に「元住吉三区会」) の皆様には、この場を借りて心より御礼申し上げます。