地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

富山地鉄冬散歩 (4) 地方民鉄の星14760形

2009-04-04 09:11:00 | 地方民鉄 (中京北陸)


 阪神近鉄直通や秩父7000系デヴューに伴う特別体制のため後回しになってしまいましたが、去る2月中旬の富山地鉄訪問の続きです (汗)。
 寺田や岩峅寺での駅撮りでは、かつての京阪・西武のスターや日車ロマンスカーの残党に感動したのもさることながら、地方私鉄がまだ元気だった昭和50年代、名実ともに「地方私鉄の星」として誕生した14760形 (富山地鉄の一般向け説明では60形) が行き交う光景にもメロメロ状態となりました (*^^*)。
 14760形の存在が当時如何にセンセーショナルだったかを思い起こしてみますと……当時、同じく「新時代の地方私鉄車両」として注目を集めた車両として、富士急5000・長電OS10・上信1000/6000/250といった存在が登場し、とくに富山地鉄・富士急・上信1000はローレル賞受賞の栄誉に浴しましたが、多くの場合1編成のみの出現にとどまり (上信250は両運×2)、結局一発屋的雰囲気が強かったのは否めないものがありました。長野口地下化記念として製造された長電OS10は、今にして思えばその典型で、超強力モーターを備えた20m非冷房車のモハ・クハ各1両のみなんて、その後の営業環境の変化に柔軟に対応出来るはずもなく……今や須坂で長期間放置の憂き目に遭っているのは周知の通りです。しかし、14760形は単なる「記念碑的車両」ではなく、戦前製の車両の一掃を狙った新時代の主力として、一気に2連×7+クハ175の計15両が用意され、当時小学生だった私ですら「富山地鉄ってスゲー!!」と圧倒されたものです。その後、本格的に半鋼製釣掛式電車にのめり込み、中学卒業旅行で念願の富山地鉄訪問を果たした私にとって、富山電鉄や富山県営鉄道の時代からのシブ過ぎる旧型車を追いやった14760形はハッキリ言って敵役でしたが (^^;)、外観も内装もピカピカな14760形が次々に電鉄富山駅を発車し、雪深い沿線をグイグイ走って行く光景に圧倒された記憶があります。



 そんな14760形も、早いもので今年は何と登場30周年……。私から見て、このような1970年代スタイルの電車は未だに「新型車両」だったりしますので、何やらにわかには信じ難い気分です (汗)。しかも現実に富山地鉄では、14760形が16010形と並んで極めて良く整備された虎の子的車両として走っていますので、端からパッと見る限りではとても製造後30年を経ているとは思えないという……。しかし、内装面での更新工事を恐らく受けていないと思われることによる化粧板の退色といい、東急8000系列とは違った音ながらも結構壮絶な走行音 (*^^*) といい、国鉄→JR117系と同じく田の字窓ズラリな側面といい、冗長さがまるでなく重厚で引き締まったトータルデザインといい……年月を経て醸し出された、その後生まれた鉄道車両とは明らかに違う「魂」が炸裂しているのを感じないわけには行きません! というわけで、かつて「釣掛を大量廃車に追いやった敵役は要らねぇ~」と思った高校時代の自らの不明を心から恥じたのでした (^^;
 寺田と岩峅寺で撮りまくったあとは、濃厚過ぎる雪晴れの1日の締めくくりとして立山(千寿ヶ原) まで往復してみることにしたのですが、このときたまたまやって来たのが14760形! 岩峅寺から先、一気に険しくなる雪の山岳風景の中を、豪快なサウンドとともによじ登って行くその姿は……頼もしいの一言。暖房がしっかり効いた車内から、横江~千垣~有峰口~本宮と続く沿線を眺めながら、中学卒業時の自分はよくもまぁこんなところで雪中撮り鉄したもんだ……と思ったり (笑)。そして、当時ですら「一体誰が降りるのか」としか思えなかった森の中の無人駅・上横江の痕跡が全く残っていないことに、時の流れの無常を感じたり (とゆーか、今や横江駅すら果たして乗降客がいるのかどうか……という雰囲気。汗)、上滝線直通の折り返し列車の設定がなくなった本宮がいつの間にか棒線1本の停留所になっていることに愕然としたり……(とゆーか、日中の上滝線の電車が本宮・有峰口まで超空気輸送の直通運転を行い、本宮で折り返し待ちの電車が束の間の昼寝をしていた光景は、80年代の時点ですら不思議で仕方がなかったのですが ^^;;)。
 そんなこんなでたどり着いた鉄道線の終着駅・立山は、アルペンルートのオフシーズンということで超閑散。14760形がこうして2連で到達することすら何だか勿体ない話だ……と思ったのですが、シーズン中はさぞかし賑わうはず。今度は是非、アルペン特急や増結長大 (?) 編成が行き交う立山線の表情を記録してみたいものだ……と思ったのでした。