地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

和歌山界隈電車漫遊 (4) 加太線小さな旅

2009-06-07 07:39:00 | 都市民鉄 (近畿以西)


 3月の和歌山撮り鉄シリーズ、とりあえず最終回ということで……貴志川線を訪れた後は105系にちょこっとだけ乗って和歌山市に向かい、南海加太線を初めて訪問してみました。実は大変恥ずかしながら、岸里玉出以南の南海本線系を訪ねるのも今回が初めて (滝汗)。加太線を訪ねたついでに難波まで北上することで、今後の撮影に向けて雰囲気をつかんでおこうという腹づもりでありました (^^;
 和歌山市駅は、さすが和歌山市街の中心に面し、かつ往時は南海と国鉄とのあいだで盛んに貨物の連絡運輸が行われていただけあって、ホームは堂々、側線も多数でとにかくデカい……。しかし今や「昔の光いま何処」状態なのは否めず、とにかく日中は客がまばら……(とくに特急サザン -_-;)。旧市街地の衰退に加えて紀州路快速に客を取られているのがありありと……。う~ん、とにかく南海頑張れ!と思っているうちに、一番端のホームから加太行きの7100系2連が発車、さっそく長大な紀ノ川橋梁を渡って紀ノ川に到着、急カーブの分岐を通っていよいよ加太線へと分け入って行きます。
 加太線内に入ると、さすが戦前は南海と別組織の軽便鉄道だっただけあって、とにかく駅間短っ! (^^;) 民家がごちゃごちゃ建て込んだ中をのんびり走ってしばしば対向列車と交換……。あたかも「20m車が走る江ノ電」であるかのようです (すみません、神奈川県民なもので比較の基準が……^^;;)。 でもって、乗ると同時にどこかで撮らなければ気が済まない性分なもので、カーブを描いた対向式ホームがなかなか魅力的な雰囲気の二里ヶ浜にて途中下車、前パンの並びを撮るなどしながら、潮の香りがほのかに漂う小駅の雰囲気を楽しんだのでした♪ 
 ついでに気になったのは……近所の住○金属和歌山製鉄所から頻繁にDLのホイッスルや「ガタタン……」という貨車のジョイント音が聞こえたこと。そこで地図を繙いてみますと、たしかに製鉄所内の南海線路に近いあたりには専用線がびっしりと……(@o@)。しかし両者の間にはグリーンベルトがあり、さらに塀があると思われることから、中は見えずに音だけで我慢……という感じでしょうか (T_T)。あるいは、外からバッチリ見えるのでしょうか……?? RF誌の1984年3月号 (何と東武10000系や阪急6330が新車ガイドに……そんな時代もあったのですなぁ) には、岩堀春夫「専用線の機関車」という最高に濃いぃ研究記事があり、当時釣掛式電車にしか眼中にないアホな中学生だった私は全くこの記事をスルーしまくり (爆)、最近改めて古本屋で購入して記事内容に大いに驚嘆したのですが、それによると往時は東松江駅から製鉄所までの連絡線があり、専用線のDLと南海のELが継走していたとか……。はぁ~、タイムマシンがあればなぁ~(爆)。



 それはさておき、二里ヶ浜から次の磯ノ浦までは線路沿いの道を散歩♪ 恐ろしくどんよりとした曇り (→さらに雲が発達して阪神なんば線開業前夜は大雨に) のため、美しき海沿いの集落の風情を満喫……というわけでもなかったのは残念でしたが、常緑樹がこんもり茂る山をバックにナマコ壁の古風な民家がそこかしこに見られる風景は、まるで南伊豆や西伊豆あたりとそっくり! そこを南海電車がのんびり走っているのもまた楽しからずや♪ (^^
 というわけで、磯ノ浦駅で和歌山行きを撮影して一日の撮影を締めくくったのち (暗すぎる曇りで彩度出ない……真夏に撮ると良さそうなシーンではあります)、終点の加太駅へ。ひとしきり海を眺めたあとは一気に山道を走り、やがて古びた木造駅舎がお出迎え……。駅のある場所自体には漁師町の雰囲気はありませんが、いずれ時間を確保して、この駅から海辺へと散歩して海鮮食いたいなぁ……と (^^;)。
 しかしまぁ、折からの天気の悪さも相まって、加太線全体に何とも言いようのない寂寥感が漂っているように感じられたのは私だけでしょうか。秩父鉄道と同様、どんなに乗降客の少ない古びた駅にも嘱託駅員が配置されて清潔さが保たれ、沿線の雰囲気も悪くありませんので、もっとプチ旅路線としての魅力が発掘されても良さそうなものですが……活性化の試みは貴志川線=JR直通計画の帰趨をみて進められることになるのでしょうか。
 あるいは、折角ワンマン対応・加太線限定運用(?) の7100系2連が走っているのですから、まずは塗装をいっそのこと旧塗装に戻し、「加太線に行けば必ずグリーンツートンを拝める」ということにすれば、「鉄」な人々が巡礼に押しかける格好のスポットとなることでしょう (んなこたぁないか……近鉄マルーン一色に戻した養老鉄道も他に撮り鉄を見かけないからなぁ……-_-; そもそもグリーンツートンも数年前に再現されたわけで……撮りそびれました T_T)。高野線末端区間で「天空」が走り始めるのと同様、せめて一工夫あっても良さそうな気がします。

 そんなことを思いながら紀ノ川で下車し、難波へと向かったのですが……どうやら南海としては本線と加太線の連絡をほとんど考えていないらしく、紀ノ川で15分待たされた挙げ句、やって来たのは普通・難波行き……しかもあろうことか泉大津まで先行するというとんでもない列車! 疲れと空腹で「パパッと難波に戻って晩飯にしたいなぁ」と思っているときに限って何という仕打ち……(号泣)。17:44に紀ノ川を発車した後、約1時間も後続の優等列車に抜かれないとは……どういう緩急接続体制やねん (-_-;)。他の普通はだいたい尾崎or泉佐野で優等に接続するというのに……。車内放送を聴いた瞬間「うそぉ……マジで?」ということで全身が硬直し (滝汗)、せっかくの孝子越えのスペクタクルや泉州灘の眺めも「何でやねん……」という思いでかき消されまくり (一応楽しみましたけど ^^;)。泉大津でこの普通を抜く空港急行に座るべく泉佐野で下車し、何とか座席にありつけたのは不幸中の幸いでしたが、こうなることなら和歌山市まで出て18:00発「サザン」(難波には一番早く到着) の指定席に乗り、缶ビールをプシュッと開けた方が全然シメとして良かったですぅ……(鬱)。かくして、空港急行は岸和田で「サザン」に抜かれ、内心歯ぎしりしまくり状態 (泉佐野で12分待たされたうえで「サザン」に乗るという選択もありましたが、夕刻だけに一般席は当然既に埋まっていると予想され、和歌山から乗るのと大して変わらない特別車料金を払うのも今さらシャクに障るのでパス。爆)。後日あれこれ調べてみたところ、そもそも加太線利用客が特急・急行を利用して難波方面へ向かう場合、紀ノ川=和歌山市間の重複乗車が認められているそうで、全ては単に何も知らずに苦労を買っただけということになり、「下調べをしなかったお前が悪い」というオチがつくわけですが、多忙のため加太線詣でのあとの難波までの乗り継ぎまで事前に頭が回らなかったという……。と申しますか、てっきり他の私鉄と同じく適切な緩急接続があると信じて疑っていませんでしたので……恐るべし南海 (^^;)。