地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

バンテン鉄道散歩 (2) ランカス客車溜まり

2014-10-07 00:00:00 | インドネシアの鉄道


 バンテン線客車列車運行の一大拠点であるランカスビトゥン駅は、他のインドネシアの地方主要駅と同じく、数本の線路とホームを覆う大屋根をも備えた発着線に加えて、構内のジャカルタ方にささやかな機関区を構え、南側に予備の客車を留置する客車溜まりを擁しており、各線とも10数両編成がすっぽり停車出来る有効長を持つことからして、非常に立派な駅であると言えます。とりわけ個人的には、客車溜まりに1~2両単位で予備車が散らばっており、背後の風景と何とも絶妙なマッチングを魅せている光景にメロメロです……。そして、到着した列車から下車した客の一部は、駅舎から出るのではなくこの客車溜まりを勝手に横断し、南側に勝手に開けられた出口(しかもちょっとした商店街や待機オジェックあり。笑)から出て行くという悠長な風景もいとをかし……。



 しかし、他のKCJ電車運行区間の駅がそうであったように、自動改札設置・切符のICカード化がなされますと、線路を勝手に横断する非正式な出入口は廃止・閉鎖される運命にあり、どれほど遠回りでも一律に正規の出入口を通ることになります。まぁ本来はそれが当然なのですが、インドネシアの場合は極端な場合、勝手に線路を歩いてホームにやって来た客に対応した切符売り場まで設けていた歴史がありますので (例えばマンガライやデポック)、ランカスビトゥンでも未だ電車が来ないとはいえ、恐らく同様の措置がとられることになるでしょう。客車溜まりも勝手にウロウロしにくくなり、やがてこの客車溜まりも電車に対応して架線が張られた留置線へと姿を変えて行くことでしょう。あるいは、ボゴール駅と同じように、電車対応の高床ホームが増設され、7番ホームぐらいまで増える可能性もあります (ランカス電化の際にはここがバンテン線末端区間客レの始発駅となりますので、完全に客車の姿が消えるわけではないでしょうが、あるいは末端区間はディーゼルカーの運行となったりして……)。そんな歴史的大転換が迫る直前に、このような古き良きのんびりとした光景に立ち会えて良かったなぁ……と思います。
 ちなみに、ここランカスビトゥンの客車溜まりでは、数年前に夜間滞泊中の客車が(たしか放火により?)大量に焼失するという悲劇が発生……。そこで廃車となった客車10数両が、マンガライ工場で長期間放置されたのを経て、現在プルワカルタの廃車の山に加わっています。その模様は昨年レポートした通りですが、アスベストが露出した (?) 残骸の強烈な雰囲気は今でも脳裏にこびりついております。合掌……。