地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第三ヤンゴン熱鉄記 (28) 最新通勤客車

2015-09-22 00:00:00 | ミャンマーの鉄道


 JR東海から転じたキハ40系列やキハ11の相次ぐデビューに沸くヤンゴン環状線にあって、すでに旬はあっという間に過ぎ去ってしまったかの感がありますが、昨年3月にヤンゴンを訪れた際に最も腰を抜かした車両のひとつが、新造ロングシート客車であるLBT13300形の存在でした。とにかく扇風機もなく貫通路もないボロ車両の寄せ集めであったヤンゴン環状線に、運賃300ksの冷房RBEと並ぶ目玉車両として扇風機つき200ksの特別車が入り、その多くは従来編成の中間に挿入された急行用ボックスシート車BDTEZ12000形だったわけですが、その一方でとにかく編成丸ごと体質改善を図ろうと、ミャンマー国鉄が放ったのがこの13300形だったのでした……。
 この車両、基本的にはBDTEZ 12000形に代表される後期標準客車の車体構造を踏襲しつつ、LBTX 900形や、前回ご紹介したSMBDT 45000形を彷彿とさせる窓割りの車両をつくった、という感じでしょうか。そして、ごく一部が従来編成の中間2両特別車となっているほかは、基本的に6両丸ごと特別車編成を構成し (2編成ほどあるはず)、日々DD900形に牽かれて環状線をグルグル走っています。



 しかし私の見るところ、この車両は極めて過渡期的かつ思いつきのやっつけ的存在であり、余り成功しているようには思えません。まず、同じ運賃200ksの特別車でありながら、全てボックスシートのBDTEZ 12000形とのスペックの差は余りにも大……。CNRのYZ22廃車発生品と思われるCNRマーク付き (笑) 扇風機がカラカラ回っているのを除けば、従来の環状線ロングシート・ボロ車両の体質改善車(昨年から急増)とほとんど変わらないプラ椅子・扉無し乗降口というアコモですし、肝心のCNR扇風機も壊れたりして停止中となれば、実質的に100ksの一般客車と何ら変わりはありません。それなのに倍の運賃を払うとしたら、せいぜい「空いている料金」に過ぎず……だったら13300形で来ることが明らかな全車200ks特別車の列車を見送って(各駅の時刻表に明記)、一部200ks特別車の列車や300ks冷房RBEを利用する方が賢明というものです。一番最悪のパターンは、一部200ks特別車の編成を待っているつもりが、何とこの13300形で来てしまったというババ抜き状態(そういう編成も僅かにあるはず)でしょうか……。
 というわけで、今後東海のDCが全てヤンゴンでデビューすれば、明らかにヤンゴン市民から見向きもされなくなりそうな13300形ですが、唯一の活路はCNR扇風機が壊れたことを以て100ks一般車に格下げされることでしょうか (笑)。今後、加速度的に客車列車の環状線列車は減って行くと思われるわけですが、その残り僅かな運用や東郊運用に13300形やRBE改造RBTが入る割合が増え、900形や10700形・1000番台は一気に消えて行く(地方ローカル線に転出?)ことが予想されるわけで、いやはや、これまで1年ごとに3回ヤンゴンを訪ねて客レを激写しておいて本当に良かったと思います♪
 とりわけ、全車13300形の6連は、現在オールラッピングとなってしまいましたので、登場直後であった昨年3月にこんな感じで後追い撮影しておいたのは、今考えてみれば本当にナイスな判断でした♪♪

 以上で、延々ダラダラとアップして参りました、ミャンマー国鉄オリジナル客車の勝手流分類紹介を終えることにしたく存じます (バゴーなどのLRBEに連結されるLRBTにつきましてはこちらをどうぞ)。いや~これほど、興味を抱かれる方と全く興味を感じない方にスッパリと分かれるネタもなかなかないものでしょう。否そもそも、客車に対して趣味的に掘り下げが進んでいる国は実は少なく、鉄道趣味が存在する国でも多くの興味は罐に注がれがちという現実があるようです。それだけに、一定の民主化・自由化の進展に伴って、従来は軍事政権の固いヴェールに閉ざされていながらもそこそこバラエティに富んだミャンマー国鉄の客車を、網羅的とは行かないまでもそれなりに撮り貯めることが出来たのは、極めて貴重で嬉しい出来事だったのだなぁ~と思います。

 このほか、ミャンマー国鉄の客車には (1) CNR昆河線車両=13000番台 (2) インドっぽい冷房車 (3) 凶悪な乗り心地のRBT (4) 驚きと期待の新星たるRBE改造RBT (5) LRBEにぶら下がるマッチ箱のようなLRBT (6) 北斗星 (爆) があります (他にもまだまだお宝がゴロゴロしていそうですが、私が把握しているのはとりあえずこの程度ですのでお許しを ^^;)。
 このうち (6) につきましては、いつもお世話になっております斎藤様や西船junction様が折に触れてレポートして下さっているところです (最近整備再開とか!)。(5) の愛嬌ある姿はこちらをどうぞ。(4) はマジ垂涎……。私はまだ撮っていませんので、ネット上で他の方の画像を拾って頂ければと存じます。いっぽう (3) は、ウリナラ製も含む極悪な乗り心地のク○車両に興味をお持ちの方はいらっしゃらないでしょう。現在ヤンゴン地区にある車両は、輸送力の低さが嫌われ、全車草に埋もれて休車中ですし。 (2) は既に一度アップしたことがあり、当時は定期運用がないVIP客車のようでしたが、『RBE』様の最新速報によりますと、今ではエーヤワディー川の向こうのパテイン地区に持って行かれたとか。(1) は……画像を多少撮っていますが、もう少々体系的に撮り貯めてから考察してみたい気もしますので、とりあえずお・し・ま・い!
 というわけで、今年3月のミャンマー遠征ネタ、既に鮮度は落ちてしまいましたが、次回からはRBEの現状やいろいろな列車・編成をフツーにダラダラとアップするという内容に戻ります。