小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『大密室』アンソロジー

2003年07月04日 | ミステリ感想
~収録作品~
壷中庵殺人事件  ――有栖川有栖
ある映画の記憶  ――恩田陸
不帰屋  ――北森鴻
揃いすぎ  ――倉知淳
怪獣は密室に踊る  ――西澤保彦
ミハスの落日  ――貫井徳郎
使用中  ――法月綸太郎
人形の館の館  ――山口雅也


~感想~
『壷中庵殺人事件』
トリックだけの一編。

『ある映画の記憶』
詩情にいろどられた作品は好きじゃないんです。あと(ネタバレ→)絵の中の松林 は伏線不足。

『不帰屋』
いつもどおり。筆力十分。素材も謎もキャラもいいのに、どうしてこうも構成が下手なのか。
のんべんだらりと流れる、クライマックスも山も谷もない実に退屈な作品。サプライズも専門的すぎ。

『揃いすぎ』
来ました猫丸先輩。もちろんハズレなし。

『怪獣は密室に踊る』
こう見えて論理と伏線で塗り固められているが――要するに僕はこのシリーズが肌に合わない。

『ミハスの落日』
気どった描写に浮いた感のある「密室」の二文字。ほとほとうんざりのトリック。ダメだ。

『使用中』
作中で結末をほのめかしたのでよかった。そうでなければ――。

『人形の館の館』
なぜよりによってこれを。


~総括~
八者八様の密室観が興味深い。章末のエッセイこそが主眼か。


03.7.4
評価:★☆ 3
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