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ミステリ感想-『カオスコープ』山田正紀

2006年08月07日 | ミステリ感想
~あらすじ~
記憶障害に悩む作家・鳴瀬君雄は、ある朝自宅で他殺死体を発見する。ポケットには血の付いたナイフ。脳裏をよぎる女性の悲鳴と殺人の光景。自分は殺人者なのか?
「万華鏡連続殺人事件」を追う刑事・鈴木は奇妙な事件に興味を抱く。被害者の名は鳴瀬君雄。重傷を負ったまま行方不明になった彼を捜し鳴瀬宅へ向かうが……。
壊れた記憶を抱えてさまよう男と、そこにいない相棒とともに事件を追う刑事。二人を待ち受ける運命とは。


~感想~
ぶっ壊れた小説。と評するのは正しくない。これは作者自らがぶっ壊した小説。
あとがきで示唆したとおり、思いだすのはあの映画。(ネタバレ→)『メメント』クリストファー・ノーラン監督
それとは別の映画(いちおう伏せ字→)『マルホランドドライブ』デビット・リンチ監督 も喚起させる。
物語は世界もろとも一から十までぶっ壊れており、真相が明かされてもなお、全ては万華鏡の映す世界さながらに粉々に砕かれたまま。身もフタもないことを言えば、小説よりも映画向きの題材だったと思う。
幻想小説というか妄想小説。ミステリとしての結構は期待しない方が吉。


06.8.7
評価:★ 2
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