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ミステリ感想-『アインシュタイン・ゲーム』佐飛通俊

2006年08月13日 | ミステリ感想
~あらすじ~
すべては来日中のアインシュタインが遭遇した事件から始まった。
「あれは自殺ではない」アインシュタインの手記に残された不可解なメッセージ。謎の解明を依頼された元探偵・ザナドゥ鈴木は、手記が眠る老舗ホテルへと向かう。そこに集まるのは遺産を狙う狡猾な人間たち。
相続争いはやがて、奇妙な殺人事件へと発展。手記の真相と不可能犯罪に素人探偵が挑む!


~感想~
歴史上の人物を題材にしたパロディミステリの傑作といえば第一に『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』島田荘司 が思い浮かぶところ。しかしせっかくの「アインシュタインの事件」はプロローグとエピローグだけに留まり、本筋は奇矯な探偵の物語。
なにかといえばウンチクと詩を吐き散らす横暴探偵を、冴えないギャグで描くのだが、この手のミステリでは既に霞流一・東川篤哉という偉大なる先駆者が存在している。
で、彼らと比べると佐飛氏の飛ばし具合はあまりに中途半端。マジメ一徹のサラリーマンが無理におどけているような、ぎごちないふざけっぷりで滑る滑る。
挙げ句の果てに肝心のトリックが森博嗣のアレと同じでは話にならない。しかも森博嗣のアレも歌野晶午のアレなので、結果的に孫パクリの有様。どれも同じ出版社なのだが、これでいいのか?
短いわりに読みづらく、ウンチクの多いわりにためにならない、どこまでもハンパな凡作でした。


06.8.13
評価:☆ 1
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