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ミステリ感想-『水の迷宮』石持浅海

2006年12月02日 | ミステリ感想
~あらすじ~
3年前、不慮の死を遂げた同僚の命日に事件は起きた。
羽田国際環境水族館に届いた一通のメール。
大金を要求する一方で、次々と展示生物を狙った攻撃が始まる。
水族館を守るため職員が奔走するなか、事態はついに殺人事件にまで発展し――。


~感想~
傑作。
論理で全てを支え、論理で全てを語りながらも、論理だけに終わらない物語。
プロットもロジックも全て真相のために捧げられ、あらゆる伏線を一つにつなぐ真相は胸を打つ。
たった一つだけの真相に、どうしてかくもたくさんの思いが絡まり、そしてもつれるのか。心理が論理を生み、論理が心理を語る結晶体のようなミステリである。
変な話だが、この論理をいったいどこから組み始め、どういった過程で組み上げていったのか、実に不思議でならない。どうやったらこんなもん書けるんだ。
結末に賛否は分かれるだろうが、生涯忘れられない物語であった。これだからミステリはやめられない。


06.12.2
評価:★★★★☆ 9
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